No.72

             市発行のIDカード


年明け1月20日は、いよいよ第45代大統領トランプ氏が就任する。

同氏が予てから不法移民に対し
厳しくタフな政策で臨むと公言していることは、良く知られている。

これに対し、全米の中でもニューヨーク、サンフランシスコなどの大都市では、
不法移民の保護の方に廻っている。

たとえばニューヨーク市では、市長(民主党のDe Blasio氏)の肝入りで、
連邦とか州とかとは別の、独自に市民証(IDカード)の発行を始め、
90万人が既に申請して受取ったという(2016年12月20日NPR)。

カードには市の番号のほか、住所、氏名、出生年月日、性別、目の色、身長が入っているだけで、
かつ発行の際には、そのための証明資料とチェックされるだけで、
不法移民であるか否かは不問のままである。

そこで、仮にトランプ政権がニューヨーク市にそうした原証明資料の写しを差し押さえにきたら、
不法移民の身元がばれて不利な処分をされる恐れがあるからとして、
ニューヨーク市が保存している原証明資料の写しを破棄する
(また、新たなカードの申請に際しては証明資料の写しを残さない)動きが出ていて、
これには、激しい賛否両論が巻き起こっている。

ニューヨーク州の隣のニュージャージー州エリザベス市は、
市民の半分以上がヒスパニックという構成だ。

市長(民主党)は10月に、やはり同じようなIDカードの発行を始めた。
その市長がいう。

「トランプ氏は、IDカードの証明資料を差し押さえに来ることの前に、
大統領として、もっと大事なやるべきことをやるだろうよ!」と述べている。

そこのヒスパニックの住人の1人は言う。
「IDカードなしには、生きていけない。銀行も口座を開いてくれないし…」。

日本国のトータルな個人番号制とは、やや次元の違う話しである。


                                 2016年12月27日