No.68
             大統領の利益相反


次期大統領に決ったトランプ氏は、
世界のあちこちにホテルなどの資産を所有している。

そこで、大統領に就任した時に、
アメリカの憲法のいわゆる報酬規程
(Emolument Clause)違反などで、
広い意味の利益相反が生じないか、あちこちで問題視されている。

同規定は、
“And no Person holding any Office of Profit or Trust under them,
shall, without the Consent of the Congress, accept of any present,
Emolument, Office, or Title, of any kind whatever, from any King,
Prince or foreign State.”と言っている
(“them”は合衆国を指している)。

つまり、
「合衆国の何らかの公職に就いている人は、
外国人などから、いかなる利益も得てはならない…」
と言った意味である。

NPR(12月1日)は、トランプ氏のドイツ銀行からの融資(現在残365百万ドルと言う)
を問題に出してきた
(これらのローンは、最近完成したばかりの、
ホワイトハウスからほんの直ぐの金ピカのワシントンのホテル、
シカゴのホテル、フロリダのゴルフコースを取得するのに充てられた)。

ボストンの大学MITの先生によれば、
トランプ氏とドイツ銀行の付き合いはもう20年近くなるそうで、彼の主力銀行だそうである。

そのドイツ銀行は、このところアメリカ合衆国の法律違反
(サブプライムローンで散々お行儀の悪い融資をして暴れ回ったこと)
の角により、140億ドルに上る課徴金を請求されている。
つまり、巨大な利益相反の種があるという。

仮に、このドイツ銀行の問題が、
オバマ大統領の手によりトランプ氏の就任前に処理されたとしても、
上記のワシントンのホテルなど、潜在的な利益相反の種は、いくらでも存在する。

外国の外交官らがそれらのホテルに泊まって、トランプ氏のホテルへ支払うことにより、
上記の憲法の禁止規定「外国人などから利益を得る」ことになりうるからである。


                                 2016年12月2日