No.65
              トランプ氏の政策


トランプ氏は、10月末にアメリカの南北戦争で有名な史跡ゲティスバーグを訪れた時、
「もし政権を取れたら」、として最初の100日間に行なう3つの施策群を発表していた。

第1の施策とは、
(1) ワシントンに正直さ、責任感をもたらすためとして、
 連邦議会の議員らの在任期間に絶対的な年限を定めるなどの、ワシントンの政治の改革、
(2) 労働者のための施策、
(3) 法の支配の復活、
である。

同時に、
@連邦議会に働きかけて、オバマケア廃止のための10の法案を通す、
Aアメリカの南国境に壁を作る(メキシコに払わせる)、
Bインフラ投資の促進、C軍の基地の再建、
D進学し易い学校制度の改革。

についても計画を発表し、
これらを彼による「トランプとアメリカ人有権者との契約」と発表していた(11月9日NPR)。

上記の連邦議会に働きかける法案として、具体的に次の名前を出している。

(@) 中間層減税と税制簡素化法
  (これには、年4%の成長を遂げられるような、また25百万人の職を作ることの
  目標が掲げられていて、税率のクラス分けも7から3に減らし、申告書の書式も簡素化し、
  また事業税も、現在の35%が15%に引き下げられるとしている。
(A) 「海外進出法」を廃止し、逆に海外に逃げていた企業のお金を
   10%の税で国内に引上げて来られるようにする。
(B) オバマケア法に代る案として、健康貯蓄口座制度を設ける。
  健康保険制度は各州ベースのものとし、連邦薬事庁(FDA)を改造する
  (現在、滞っている医薬品承認待ち4000を少なくする)。
等々がある。

上記(1)については、必要な憲法改正を行うことに加え、連邦の役職員の数も減らすとし、
そのため連邦政府による新たな規則を1つ発表するときは、2つの規則の廃止を条件とする。
連邦の役員が辞めてから5年間はロビィストになれない、
等の具体的な方針を示している。

第2のアメリカ人労働者のための施策として、6つを掲げる。
(@)NAFTAの再交渉か、そこからの脱退(第2205条)
(A)TPPからの脱退の宣告
(B)財務相をして中国を「通貨操作国」と認定させる
(C)通商相と貿易代表庁をして、全ての不公正な外国による慣行を洗い出させる。
(D)シェール・オイルやガスの発掘など、エネルギー開発への制限を緩やかにし、雇用を増やす。
(E)国連の気候変動防止プログラムへの合衆国による拠出義務を拒否する
  (その分を合衆国内の水と気候の改善に向ける)

更に、緊急を要する次の5つの措置を挙げている。

(1)オバマ大統領が大統領令により行った全ての不当なことの廃止。
(2)最高裁判事の後任を、自分が用意した候補者リスト20人の中から任命する。
(3)州以下の自治体(市町村)で不法移民に優しい自治体へ連邦からの補助金を停止。
(4)現在入ってきているとされる2百万人の犯罪者の返還
(5)テロに甘い国・地域からの入国禁止

トランプ氏は、こうした具体的な提案を出していて、
「これで勝負しよう。もし勝ったら、我国は再び「人民の、人民による、人民のための政府」を回復できよう…」
と述べていた。

トランプ氏が選挙に勝利してから、驚いたり首を傾げたりする声がメディアを含め多く出されたが、
こうした選挙公約を掲げて用意周到に臨んでいたトランプ氏の実態を知れば、
それほど奇異に感じる必要はない。


                                      2016年11月11日