No.61
大統領特権の1つ、恩赦
FBI長官ジェイムズ・コーミィ(James Comey)の行動がメディアを賑わしている。
更に、少なからぬ非難も招いている
(非難の中には、前司法長官のエリック・ホルダーJr.やFBIの先輩らからのものも)。
最も騒がれたものが、クリントン大統領候補の私用メールアドレスの公的流用問題である。
しかし、選挙の1週間前になって、
これまで1年以上もの間眠っていたと思われるFBIのTwitterから、
今1つの「人騒がせな」話が流された。
大統領候補ヒラリーの夫ビル・クリントンが、任期終了直前(2001年)行った
大統領恩赦(Presidential Pardon)に不適切な者が入っていたかのような情報である。
問題は、ヘッジ・ファンド・マネージャー、マーク・リッチ(Mark Rich)のことである。
この男は、1980年代からの税務詐欺など複数の罪による重犯者とされ、
罪を逃れてスイスなどに逃亡していた。
その間に彼の前妻が、民主党全国委員会(DNC)、クリントン大統領図書館、
ニューヨーク州からの上院議員候補であったヒラリー・クリントンのキャンペーン、
などへ寄付をしていたというものである
(FBIによる捜査は、2005年に終止符が打たれ、マーク・リッチ本人は、2013年に亡くなっているという)。
現在ヒラリー・クリントンのの選挙マネージャーは、
ビル・クリントンの大統領時代の首席補佐官だったジョン・ポデスタ氏だが、
彼が議会で証言したところでは、
当時のホワイトハウスのスタッフや、司法長官代理をしていたホルダー氏は、
「マーク・リッチに恩赦を与えることに反対」、を助言していたという。
これでTwitterが終わりではない。
FBIのコーミィ氏も、当時(1987〜1993年)マーク・リッチ事件を手がける検察庁にいたうえ、
更に2002年には、丁度マンハッタン地区担当の合衆国検察官として、
クリントン大統領が上記の恩赦を与えた件につき調査もしていたという。
そのFBIのTwitterがまた10月30日には、
ドナルド・トランプ氏の父(フレッド)に係る8ページの証拠文書も流したという。
フレッドが売りに出していたいくつかの住宅で、人種差別的な広告や販売方法をしたとして、
トランプ氏とその父フレッドとが、合衆国検察官により連邦法違反で訴えられた事件。
この1973年の件については、ヒラリーも10月31日夜の演説中で、
この父子が、元来から人種差別的であったと、攻撃する文脈の中で採り上げている。
2016年11月7日
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