No.53

       合衆国上院議員を目指すクー・クラックス・クランの親玉


ドナルド・トランプ氏のことは、なるべく採り上げないようにしてきた
(初めの頃、2回ほど触った程度で)。

そのトランプ氏に対する風当たりは、この処同じ共和党内部からも強まっている
(結構有力な共和党員が、「ヒラリークリントンに投票する…」、などと公言し出した)。


今回採り上げるのは、
例の悪名高いKKK(クー・クラックス・クラン)の元リーダー、デューク氏
(David Duke)
(「1人想い」かどうか、デューク氏は、兎に角トランプに対し「心酔」しているに近いとされる)。

彼は、トランプ氏が用い始めたスローガン、「アメリカ第一!」(アメリカ・ファースト)を
「最初に唱えたのは自分だ」と主張している。

そのデューク氏が、今度の選挙に出るという。

大統領の座ではない、合衆国上院議員の座を狙ってだ
(その成否は、彼の州、ルイジアナ州民に託される)*。

彼の信条は、一言でいうと「ヨーロッパ系アメリカ人の権利を擁護する」だ。

NPRの記者のインタビューに応えてデューク氏は言っている(8月5日)。

「最高裁判事の人選問題も含め、合衆国上院議員の中で、
この僕以上にトランプ氏の主張に忠実な者はいないだろう」。

「トランプ氏に対する批判、人種差別などの扇情的悪口は、
すべて風刺か、さもなければ悪意ある攻撃だ。
この国の今日の真実は、何千という利益団体が
黒人、メキシコ系、ユダヤ系などの利益擁護に回っているが、
ヨーロッパ系アメリカ人の伝統をしっかり守って行くことこそが求められている点だ
…それが即人種差別と言うなら、それこそがヨーロッパ系アメリカ人に対する大変な人種差別だ。
メディアを始めとする、この種の批判、悪口に対しては、我慢がならない」

NPRの記者が更に、
「しかし、この国では今でも白人が圧倒的上位で、
富でも権力でも握っているという事実を知ってますよね?」と訊ねたのに対し、

「いや、それは違う。たとえばハリウッドも、ヨーロッパ系アメリカ人は支配していない
…彼らはユダヤ、つまり中近東だ」

彼は、「この国を造ったのは、ヨーロッパ系アメリカ人だ」としている
(ただし、彼の州ルイジアナは、大半が黒人の血と汗で造られたが)。

彼はユダヤは、ヨーロッパ系からは除かれるとし、更に「クリントンに貢いでいる」とも主張している。

一方のトランプ氏は「デューク氏は自分とは違う」と擁護しない姿勢を示しているが、
この点についても、デューク氏は、「2人は各別に選挙を戦っている」としつつも、
「人々が彼の悪口を言うように、僕に対しても悪口を浴びせているんだ」と答えている。

これより先のCNN(7月22日)も、「共和党全国大会(RNC)の議長も、
ルイジアナ州共和党も、デューク氏を支援していない」と伝えていた。



*現議員(共和党の)David Vitter氏が不出馬を発表し、その後を狙って現下院議員2人、
 元下院議員1人など、他に5人が手を挙げているとしている(7月22日CNN)


                                 2016年8月15日