No.46

                目に停まった1MDB

アメリカ合衆国(司法省)が原告となって10億米ドル(1070億円)の訴訟が
アメリカ合衆国のカリフォルニア州内中央地区裁判所に起こされた。

被告の名は、表面に出ているのは
「ウォール街の狼」
(Wolf of Wall Street)という映画(2013年)であるが、
マレーシア連邦のトップクラスの政治家と、その関係者が背後で事件に
実質的に係って(公金横領に近い形で)いるという(2016年7月20日のNPRやブルームバーグ)。

そのために使われた機関が“1MDB”という
マレーシア連邦での電源開発公団のようなもののようである*
(実は、弊事務所も1年半くらい前に、この1MDBに係る日本側の事業体について、
英文の意見書
(legal opinion)を発出したことがある)。

私的に流用されたのは、総額約35億ドルで、
うち10億ドルがアメリカの金融システムを通して資金洗浄
(money-launder)されたとしている。

アメリカの司法省は、この10億ドル相当分を前記の映画の上映権ならびに
ビバアリーヒルの邸宅やマンハッタンのタイム・ワーナービルや
ヴァン・ゴッホの絵画(アルルの家)などの差し押さえにより、
できるだけ回収しようとしているようである。

この事件については、資金の大きな流れが、アメリカのほかに、
スイス、シンガポール、ルクセンブルグの金融機関を通っており、
それら4ヵ国の検察当局が捜査を進めているという
スイス当局によると、マレーシア連邦議会の1MDB担当委員会では、
不正に動かされた資金は、42億ドルに上るという)。

*正式な名称は、1 Malaysia Development Berhadで、
 その諮問委員会の長は、つい近頃まで首相のNajiv Razakであったとされる。


                               2016年7月22日