No.42
お化けファイル
ここでいうお化けファイルとは、住宅ローンの競売通知に絡んでいる。
ニューヨーク市クィーンズ区の女性Deltaの話を
NPR(6月30日)が報じてるものである。
例のリーマン・ブラザーズ事件の頃(2008年9月)、医療費の支払に迫られ、
住宅ローンの返済を滞らせてしまい、裁判所から競売通知を受け取った。
彼女は、次に何が来るかと、弁護士も頼んで用意していた。
それから8年、「待てども…」、何の音沙汰もない。
この点についてNPRは、
「こういうのをお化けファイルという」と説明している。
サブプライムローンのブーム期(2001年など)、どこも金融機関は大小を問わず、
ローンを出すことにのめり込んでいた。
それが今や、とに角競売の申立だけしておかないと数年以内に失効してしまうとして、
必要な書類だけは出した…だが、その先を進めるのに必要な書類を用意して居られなかった。
住宅ローンの借主が、宙ぶらりんの状態のまま、いつまでも放置されているのはその故だ。
Deltaのいるクィーンズでは、数千人の人が彼女と同じ状態にいるとして、
NPRは地区の裁判所の書記官に取材したところを記している。
「書記官によれば、その数千件はパソコン入力もできてないから、
照会を受ければ、紙のファイルを取り出して見るしかない。
しかも、競売案件は、1件1件違う。一纏めにした処理方式は通用しない。
一方、住宅ローンの借主は、
もっと早くに金融機関と個別に和解交渉できていれば、巧い解決案を出せていたかもしれないが、
今となっては、延利だけでも大変だ
…その点を勘案すると、この2007年、2008年、2009年のファイルの住宅ローンの借主は、
並の下程度の収入がある人でも、この先、完済までに20年はかかろう。
Deltaの場合、それは71歳ということだ」。
2016年7月11日