No.35
起業家と金づる
NPR(5月16日)は、アメリカらしい才気から生れてきたと思われる、
今1つの世の中の「処し方」、「制度」を紹介している。
零細ないし小企業の立ち上げのための金銭的な支援に絡む、
起業家が「どうやって金づるを掴むか」、と言ったことの処理である。
NPRは、これをcrowdfunding(群衆出資制度)と呼んでいる。
これにも2通りがあって、
普通株式と同じように、「事業からの上り」の一定の割合を分配する“equity crowdfunding”と、
金銭以外のもの、TシャツならTシャツを分配する“kickstarter”とである。
どちらの場合も、起業家に出資した人は、もしその出資分が更に増価していれば、
その持分を有利に手離す(転売する)ことも可能となる。
ここでの特記事項は、連邦政府がオバマ大統領の下で出した措置である。
2012年に、議会がそうした起業家と投資家双方の利益を守るための法律を通した1。
つまり、何のルールもないし、誰も看ていない、と言うのではない。
また、この種の活動の実態が、殆んどの場合に電子的(digital)に行われていることを前提にしたものである。
その骨子は一般の上場株式のような登録制度とは違って、
出資を求める起業家に予め金融当局によって認可された2,3のポータル業者を通して、
金銭を集めさせることである
(“…go through a registered broker or a funding portal…approved by regulators”と言っている2)。
このような零細ないし小企業の立ち上げのための金銭的支援メカニズムが、
果たしてどこまで伸びるのか。
2012年9月2日のフォーブス誌は、もう少し長い目で見ないと判らないと言っていた。
NPRも、手数料が高過ぎたりすると、離陸することが出来ないかもと言っている。
**注釈**
1 法律の名は、Jumpstart our Business Startups (JOBS) Actである。
2 こうしたportalとしてNextSeed、SeedInvestおよびWefunderの名が挙げられている。
2016年5月27日