No.34

             コロンブスへの手紙


クリストファー・コロンブスというイタリア、ジェノヴァの探検家のことは、誰もが知っていよう。

スペイン東部バレンシアのボルジア家出身の教皇アレクサンダーY世により、
15世紀に西半球世界の開拓(キリスト教化、文明化、植民化)の
独占的権限を授かったスペイン王(FerdinandとIsabella)に雇われて、
新世界(Americas)を有効に発見した。彼は、その新世界からの帰路(1493年)、
大西洋を渡る間に王に宛てた手紙を書いている。

NPR(5月18日)は、その手紙が、このコロンブスによる大航海のことを
広くヨーロッパ人らに知らせ、ひいては、この地球が丸くて
平面上に存在する世界ではないことを、悟らせたとした。

その上で、その手紙が盗まれ、20年以上も所在不明になっていた後、
アメリカ合衆国の議会図書館内にあったことが判ったこと、
それがこの度、アメリカ合衆国政府によりイタリアの文化相を通して、
元の場所、「フローレンスにあるRiccardiana図書館に戻された」、と伝えている。

このRiccardiana図書館には、これまで巧く工作された手紙の模造品が保管してあった由である。

また本物は、1992年に、ニューヨークで30万ドルで競売にかけられた後、
落札者を経て、前述のように議会図書館に贈与されていた。

アメリカ司法省は2012年に、政府の諜報関係者から、
その強盗と、その後の競売、落札、贈与の情報を入手していたという。

今回、議会図書館にあった手紙を具に調べたところ、
元あったRiccardiana図書館の字(スタンプ)の所が、漂白剤で消されるなど、
出処を不明にするような工作の跡が残っていたという
(更に、現在の価値にして113万ドルであるという)。

なお、手紙の中でコロンブスは、
「原住民らは、忽ちやって来て、物を呉れたり、友好的だった。
ヨーロッパの勢力なら、簡単にこれを征服できよう…」
と書いているという。


                            2016年5月19日