No.32

             21世紀最後の開拓村


4月27日のNPRは、
「この部落こそが、アメリカでの最後の開拓村じゃないか?」、という村を紹介している。

村は、ネブラスカ州の砂漠にある。
それは1マイル(1.6q)の滑走路があるだけの、滑走路の両側に、
それと同じ長さに散在する住宅(その多くが移動別荘と言った方が当っているmobile home)の集合に、
350人が住む、Cal-Nev-Ari村である。その多くが元パイロットで、その村にプロペラ機を置いている。

その村にあるのは、カジノ、モーテル、小さなコンビニ程度で、他には何もない。
正に砂漠の中に孤立しており、NPRが「アメリカでの最後の開拓村では?」というのも判らないではない。

因みに、この新しい村の名前Cal-Nev-Ariは、
ネブラスカ州とカリフォルニア州との境界近くにあり、かつ「多くの人が元パイロット」という、
その3つの言葉を、そのまま名称にした感じである。

そこには、文字通りこの村をゼロから開拓した夫妻Kidwellsが住んでいる(2人とも元パイロット)。

初めは、50キロ離れたコロラド河から4つの入れ物(55ガロン缶)に
水を入れて運んできていたという。
それで、20エーカー(26,000坪余り)の大麦畑を作った
(働くにしても、砂漠の中の灼熱のため、午前中しか働けなかった)という。


アメリカ合衆国には、こうした砂漠の人跡未踏の地の開拓を奨励するための
連邦法Pittman Actがあり*、この夫妻のような開拓者には、連邦の土地を取得する権利を与える。

連邦土地局(BLM)が然るべき権利証を出してくれることになっており、
本件でもBLMがKidwellsらに権利証を発行するとともに、連
邦の地図上に初めて、“Cal-Nev-Ari”という地名を加えているという。


* ただし、ここで連邦法“Pittman Act”と言っているのは、記者の間違いであり、正しくは、Desert Land Act of 1877である。


                                 2016年5月16日