No.31
ポピュリストとは
今回の大統領選に絡んで
候補者の中に有権者(ここでは、ウィスコンシン州民)向けの
ポピュリスト(populist)的な動きをする者があることにつき、
NPRの記者は、ウィスコンシン大学、政治学教授Kathy Cramerとインタビューしている(4月25日)。
それによるとポピュリズムの要因は、そもそも選挙民の側に存在する。
彼らの多くが、その中の声の大きい人達が、求めている政策を叫ぶ。
それに応えて、大統領候補も政策として掲げて運動する。それを“Populism”と捉えている。
Cramerが言うには、
彼らは(ガソリンスタンド、レストラン、コーヒー店…に居る)「町の人」のことであり、
今回の大統領選では、いわゆる「怒れる選挙民ら」でもある。
無論、この怒りの原因の第1としては、アメリカ経済の現状がある。
多くの人々が、肌身で感じている家計の苦しさがある。
そこには、人口動態の変化(少数民族の比率増大)、グローバリゼーション、脱工業化など、
アメリカ自身の置かれた環境の変化もある。
しかし、そうした抽象的な学問的説明は、ポピュリズムの説明とはマッチしない。
もっと簡単で判り易い、工作の図画のような悪漢の顔が、必要である。
ドナルド・トランプなども、この辺りの事情に疎いことは、全くない。
それを十二分に理解し、捉えて喋っている。
そこで、悪漢の顔をして出てくるのが、貿易(trade」問題、移民問題などである。
この悪漢に反対する形、人々の味方に付く形の「われらが友」は、
アメリカの民族主義、国民主義、地元優先主義(nativism)であり、反自由貿易論である。
これは、正に共和党本来の網領の正反対である。
それだから、「トランプ氏が、共和党のDNAをぶち壊しつつある…」、などと言われるのである。
2016年5月16日