No.3
              
後任問題(その2)


昨日のブログで、テキサス州の広野で土曜日に亡くなった
最高裁判事Antonin Scaliaの後任問題に触れました。

メディアの世界ではこの問題は、なおも尾を引いています。

NPRの記者は、この点を連邦上院司法委員会のOrrin Hatch
(82歳で現在は、かつてハワイ州からの上院議員Daniel Ken Inoueがしていた、
上院のPresident pro Temporeで、以前から最高裁判事になりたがっていると噂されている)
とのインタビューで、掘り下げています。

印象的なのは、彼が記者のくり返しの誘い水に乗らないで、
飽くまでMitch McConnell(共和党の上院のリーダー)を立てて、
その言から一歩も引かない答弁をしている点です。

つまり、後任を指名するのは、オバマ大統領ではなく、
「次の大統領による(来年になる)べきだ」と言うことです。

それに付加して言っているのは、

「この選挙の真っ最中に、
両党とも半ば気が狂ったような今の時期に、最高裁判事を選ぶのは不適切」、

ということであります。


これに対し、記者は食い下がっています。

「憲法で定められた通りの大統領、定められた通りの上院、
そこでなぜ、これも憲法で定められた通りの手続で進めないんですか…」

「大統領も民主党も、共和党がドンドン進めないことに文句は言える柄じゃない。
彼らだって、この最高裁判事問題を散々政治の道具に使ってきた…」

として、レーガン大統領の時に、民主党が上院でRobert Bork判事の任命を不承認とした例や、
Clarence Thomas判事の承認手続きでも、ゴタゴタしたことを例に引いています。

「でも、もし大統領が、民主党にも共和党にも受け入れ可能なような人を選んできたらどうです」

Hatch上院議員のこれに対する答えは、

「Scalia判事自らが、かつて自分の後任に望ましい人として、
第7控訴裁判所のFrank Easterbrook判事を挙げていた。
だけどオバマ大統領が、その判事を指名してくるとは到底思えない。
だって、これまでの彼のチョイスを見てよ*」

記者が、そこで下馬評に上っている4,5,6人の中から順位一番の
インド系のSri Srinivasanの名を挙げると、

「彼はいい人だと私は思うよ。だけど、Mc Connell氏の言うことが正しい…
民主党だって、彼らが今までやってきたことを考えてみれば、McConnell氏の言うことを理解できるはずだ・・・」

最後の質問、「あなたの名前も、時々浮上してましたよね」

「ああ。そうなりゃ頑張る。
だけど、この82歳の爺さんを推す人なんかいないだろう。
第一、仮にそんなことになれば、民主党の連中は皆で、
『あいつが早く赴ってくれればいい』と祈るだろう。
しかし、そうなったら、こっちも後20年くらいは生きてやる」


 *オバマ大統領は、司法機関についての人選で、少数民族(minority)の人を好むとされる。
  実績としては、ヒスパニックのSonia Sotomayorと、ユダヤ系のElena Kaganがある。

                                                         2016年2月17日