No.20

                   
プリンストン大学とWillson

ハーバード、イエール、プリンストンと言えば、
今やカリフォルニア州のChina Valleyに来ている何万と言う中国人の
中高生が等しく目指すエリート3大学の1つである。

そのプリンストン(Princeton)で、20世紀初めに学長をしていたWoodrow Wilson。

そこから第28代大統領になって、アメリカの大統領として任期中に初めてヨーロッパを訪れている。
“Fourteen Points”を掲げて、世界平和の理想を実現するためであった。

結局、アメリカ自らは加盟しなかったが、
国際連盟(the League of Nations)成立のきっかけを作っている(ノーベル平和賞も与えられている)。

ところで、そのWilsonについては、ヴァ―ジニア生れの、ヴァージニア育ち、と言うこともあってか、
かなり強度に人種差別(分離)的な言動が記録されている
(いわゆるsegregationistとして、よく引き合いに出される)。


4月4日のNPRは、プリンストンで、そのWilsonが因で、今ちょっとした騒動が持ち上がっていることを報じている。

問題は、主として黒人学生と、大学との間で“Wilson School”という、
公共政策部に付けられた名前を、そのまま維持するか否かである。

学生らが問題にしているWilsonが言った言葉の1つというのは、

「本学の気質・伝統とも、とても黒ん坊(negro)が入門しようか、と考えるようなものではない…」、であり、

更に、1909年にはWilsonが(ある黒人学生からの「入学を考えたい」との質問に答えて)
「有色人種にはとても奨められない」、というのがある。

この騒動について、Richmond大学の歴史学教授Eric Yellinの言が引用されている*。

「Wilsonの人種差別を、多くの普通人が持っている人種差別と混同しないでほしい。
その人達は大統領ではないし、なぜ差別することが大切かを明らかにしている訳ではないし、
誰もが、同じ程度に影響力がある訳でもない…」


*
教授は、Wilsonの伝記を出しているほか、大学の理事会の下に設けられた、
 この問題(Wilsonの名を外すべきか)を検討するPrinceton Committeeのメンバーでもある。
 しかし、黒人学生らがBlack Justice Leagueを通して言っているのは、Wilson自身の対黒人への言動のほか、
 Wilsonの業績が評価され過ぎということにもありそうだ。



2016年4月8日