No.2

                  後任問題

 

    昨日のこのブログでは、アメリカの最高裁判事Scalia氏死去の報を載せました。
     これに伴い、
8人に減った最高裁判事の構成を9人に戻すため、早速政治が動いています。

      44では重要問題に国の有権的最終判断が、イエスかノーかの法的答えが、出せないからです。

    しかし共和党は、オバマ大統領には後任の判事の人選を「絶対やらせない…」と息巻いています。
     党の大統領候補(現在
6人に減りましたが)の中でも、その声が挙っていますし、
     憲法上で、任命につきその同意が必要とされている、上院の共和党の院内総務も、
     「後任は、次期大統領によって任命されるべきだ…」と言っています。

    これに対し、オバマ大統領も、

    「任命権はこの私にある…今これを行使することが、国のために求められており、私の義務でもある」

     式のことを公けに述べています(これらは、
TVでも報道済)。

    上院の司法委員長も、

     「選挙の年に判事の候補を決め、それを上院が承認した例はとても少ない」

     と言っていますが、事実は、レーガン大統領による
Anthony Kennedy判事の任命(1987)と、
     上院によるその承認(
1988年)の例があります。

      44の結論の場合、その事件に対する法的な答えは、連邦控訴裁判所の下した判断となります。
     オバマ大統領の
7年間の任期中に、これら控訴裁判所の欠員判事を任命してきた結果、
     
13ある連邦控訴裁判所の9つで現在は、民主党寄りの裁判官が多数となっていますから、
     最高裁判事
8人の状態が続く間は共和党にとって、不利とまで言わなくても、中には
     好ましくない(気に入らない)法的な答えが出されることも生じます。

    しかも事件の現状はどうかというと、最高裁判事の判断待ちの重要
     (つまり、共和党と民主党とで意見が大きく分かれるような)案件が、
     「山積している」と言っても過言ではない状況です。

    人工中絶、選挙(投票登録)法の問題、選挙区割り。
     加えて昨年から大統領がイニシアティヴを採ってきた不法移民に対する滞在措置、
     石炭に的を絞った環境対策…等々です。

    そんな時だけに、Scalia判事の死亡による損失は、
     一段と彼を頼りにしていた共和党にとって「応える…」、と言えるでしょう。
     彼が、その職にあった今までの
30年間、一貫して進歩主義的な判決
     (その多くで、この先
44の状況が予想される)に対し反対の声を挙げていただけに、
     それにより、
54の判決を左右してきただけに、
     彼のいないことのマイナスの影響が、一段と強く感じられるでしょう。

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