No.17
されこうべ
もう忘れかけてしまったが、ハムレットが「されこうべ」(頭蓋骨)を手に取って
感慨深げに何やら呟く場面があった。
NPRは、そんなハムレットの作者Shakespeare(1564〜1616)のされこうべの話を採り上げている。
先ず、彼の出身地Stratford-upon-AvonのHoly Trinity Churchの
彼の墓碑の地下に埋葬された死体から、
数百年も前から、されこうべが失われていることである。
イギリスのチャンネル4放送は、3月26日夜に、
今回この問題での調査の模様をドキュメンタリとして流すとしていたが、
その調査でも、やはり、されこうべが欠けていた。
NPRは、そとの結論とともに、調査に当った考古学者とのインタビューを載せている。
同教会に対しては、考古学者だけではない。
○○気狂いのような人も入れて、これまでも何千と言う申出、
「教会の地下、墓碑の地下を掘らせてほしい」と言う話しがあり、すべて断っていた。
それが、今回の考古学者は、
「地下を見れるレーダー検査を」、と言うことで牧師の許可を得られた。
その考古学者がレーダーのスケッチを入れてから間もなく、
第一に「ホッ」としたのは、確かに間違いなく、墓碑の地下に彼の墓があったことである。
しかも、その墓が半分までは、全く手つかずの状態であるのに対し、
もう半分、頭のあったと思われる部分が、「空っぽ」だったことである。
そこで問題は、一体18世紀の昔に、誰が何のために、
シェイクスピアの頭蓋骨を発掘して持去ったのか?
この疑問に答えて、その考古学者は述べている。
あの時代(18世紀末近くから19世紀にかけ)、2,3の理由により、「頭蓋骨堀り」が流行った。
1つは、医学的なもので、殊に著名人の頭蓋骨がどんな具合に普通人とは違うのかを知るため。
もう1つは、これで商売をしようとした人々である。
今の場合も、恐らくこちらの方が当たっていよう。
と言うのは、彼の「されこうべ」に対しては、
その呪いに負けずにそれを持ち続ける人がいたら、
「300ポンド(現在の価値にしたら莫大な金額になろうが)を出してもいい」
との約束が言い伝えられているからだ。
しかも、シェイクスピアの墓碑にはこう刻まれている。
「良き友よ。神の名により、どうかここを掘らないで。
この石をそっとしてしておく人に、幸いあれ。私の骨を動かす人には、災いを!」
2016年3月28日