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          保守的Antoni Scalia最高裁判事

   今朝のアメリカのニュースのトップは、Antonin Scalia最高裁判事の死亡です(79歳)。

 「保守的」との枕詞で始るScalia判事は、その保守的の文脈では、
   黒人として
2人目になるClarence Thomas最高裁判事と並んで語られることが多くありました。

  この点を一言で表すのが、アメリカ憲法の解釈態度の基本に係る“originalism”という単語です。
   つまり、憲法を

  「過去の法文書
(静態的なもの)ではなく、
   現在・未来にも生き続ける法文書
(living document)であると見定め、
   常に変化する世界の中で理解すべき法文書
(…must be read…in the context of an ever- changing world)である」

   とする考え方
   (シカゴ大学でやはり憲法を教えていたオバマ大統領の言葉)とは異なります
   (
originalismにつき、小著、アメリカの憲法成立史―法令索引、判例索引、事項索引による憲政史―p.875ご参照)。


   このイタリア系アメリカ人でシシリー島出身の父を持つ判事の憲法についての考えは、

 「我々の仕事は、そこにある憲法の言葉を解釈(expound)することで、
   外国法や、承認してもいない条約の言葉などに影響されるべきではない…」

 「私が解釈・適用する憲法は、生きた憲法ではない。
   それは私の表現では、持続する
(enduring)法であって、
   採択された時に、どんな意味を持っていたか、を探って判断すべきものである・・・」

  Scalia判事は、その週末テキサス州の牧場続きの広大な広野にあるリゾート施設に
   
1人で来ていて(家族は行くことに賛成していなかった)、
   翌日には、
40人くらいとともに、ハンティング(うずら)の話しもあったようです。

  何しろ、この西テキサス州のPresidio County(郡)は、2400平方マイルと言う広さの中に、
   
2400人がポツリポツリと住んでいるようなところで、
   検死(
inquest)をする治安判事も、その広さをカバーし切れなくて、
   今回は電話により、それを行ったようです。

 

2016215