自分達のグループをスタートしたエムトゥーメとルーカスは、いよいよ本格的なプロデュ ース業を開始する。彼らはなぜ自分達のグループ活動と並行するかたちで、他のシンガー のプロデュース業をスタートさせたのだろう。ロバータ・フラックに提供した《ザ・クロ ーザー・アイ・ゲット・トゥ・ユー》の成功は、音楽業界における彼らの知名度をあげた ことと想像する。もっと大きな成功を狙ってのことなのだろうか。野心ももちろんあった こととは思うが、おそらく理由はそんなに単純なものではない。エムトゥーメとルーカス の場合、実際に楽曲制作そのものにも興味があったように思える。彼らの創ったサウンド が、その証明である。ギャンブル&ハフやノーマン・コナーズといった優れた楽曲制作者 と一緒に仕事をしてきた経験から、”自分達でもやってみよう”と思ったとしても不思議 ではない。クリエイターとして理想の音楽の実現を目指すのは、ごく自然な流れである。
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■パーカッション奏者のエムトゥーメ アフリカン・アメリカンとしての黒人伝統文化を通じ エモーショナルな歌と、ファンキーなリズムをを自己 の音楽にとりいれてきた。 |
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■ギター奏者のレジー・ルーカス フィラデルフィア・ソウルの中心地で、セッション・ ミュージシャンとして自然なかたちでジャズ、ソウル 、R&Bを吸収してきた。 |
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■エムトゥーメ(グループ) 初代エムトゥーメのメンバー達。 後にDトレインに参加するヒューバート・イーヴスも メンバーの1人であった。 |
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■Stephanie Mills / What Cha Gonna Do With My Lovin' エムトゥーメ&ルーカスのプロデュースによる、ミルズの 最初のアルバム。当時の都会的なポップスがお手本にした 見事なグループ・サウンド。演奏しているのは、もちろん エムトゥーメ(グループ)のメンバー。 |