グラミー賞を受賞したロバータ・フラックとダニー・ハサウェイのデュエットが久しぶり に聴ける《ザ・クローザー・アイ・ゲット・トゥ・ユー》によって、エムトゥーメとレジ ー・ルーカスの共同での楽曲制作は本格的にはじまったようだ。彼らは、《ザ・クローザ ー・アイ・ゲット・トゥ・ユー》の録音と同じ1977年に、ヴィタミンEというグループに 《キス・アウェイ》という共同名義の曲を提供している。ヴィタミンEは、エムトゥーメ とルーカスより一足はやくソウル・ミュージックに本格的に近づいていったジャズからの 転向組の1人、ノーマン・コナーズがプロデュースした黒人男女3名のグループだ。中心 人物は、コナーズと同じく”曲の書けるドラム奏者”のポール・スミス。唯一の女性メン バーのビアンカ・ソーントンは、ジョン・ヘンドリックスのバック・ヴォーカルやスライ &ザ・ファミリー・ストーンにいたこともあるという興味深い経歴の持ち主である。
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■Vitamin E / Sharing 《キス・アウェイ》収録の、ヴィタミンEのアルバム。 タイトル曲の《シェアリング》は、ジャケットのイメー ジどおりのネットリしたソウル・ナンバー。他の曲も、 名曲ぞろいの。70年代ソウルの隠れた名盤だと思う。 |
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■Mtume / Kiss This World Goodbye エムトゥーメとルーカスのグループの、最初のアルバム。 《ザ・クローザー・アイ・ゲット・トゥ・ユー》のセルフ ・カヴァーやメロウのグルーヴする傑作《ラヴ・ロック》 を収録。ルーカスのジミヘン+クロスオーヴァーも爆発。 |