エムトゥーメとレジー・ルーカスのプロダクション・チームが作った音楽からは、彼らが 在籍していたころのマイルス・デイヴィスのグループがやっていた音楽の影響をほとんど 感じない。もっと直接的な影響を与えた音楽があるように思える。そのように考えたら、 実際の音で検証してみたくなった。デイヴィスは、1975年9月をもって公の場から姿を消 している。80年代に入って復帰するが、この一時的な引退ともいえるデイヴィスの行動に より、グループは自然消滅のような状態となる。必然的にメンバーは各々の活動を活発化 させていったようだが、デイヴィスが引退する前でも、グループの活動が無いときにはメ ンバーはそれぞれの活動を行っていた。そのような課外活動のなかに、エムトゥーメとル ーカスが作った音楽に直接的な影響を与えた要素があるかもしれない。そこでまず注目し たいのが、カルロス・ガーネットの『ブラック・ラヴ』というアルバムである。
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■Carlos Garnett / Black Love ジャズ、ラテン、ファンク、アフロ・アメリカンが混然 一体となったような音楽性のガーネットのアルバム。 デイヴィスのグループからは、エムトゥーメとルーカス が参加している。 |
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■George Duke / Reach For It ファンキーなフュージョンを推進するとともに、 ラテン・ブラジリアン・サウンドも推し進めて きたジョージ・デューク。熱いラテン・ビート の《ホット・ファイアー》収録。 |