叔父さんにあたるアルバート・ヒースのアルバム『カワイダ』で、演奏のみならず自分の 曲を発表する機会を得て実質上のデビューをはたしたエムトゥーメ。彼は、1970年頃から ニュー・ヨークで音楽活動を開始したようである。ニュー・ヨークに来る前は、カリフォ ルニアで正式に音楽を勉強していたらしい。エムトゥーメが、演奏だけではなく作曲面の 才能もあるのは、父親が有名なサックス奏者という音楽的に恵まれた環境の影響だけでは なかったようだ。エムトゥーメは、1971年の夏頃からマイルス・デイヴィスのグループに 参加している。デイヴィスのグループに誘われる前は、トランペット奏者のフレディ・ハ バードのグループにいたらしい。ほぼ同時期に、ニュー・ジャージー出身のサックス奏者 のバディ・テリーのアルバムにも関わっている。エムトゥーメは、『カワイダ』に続いて テリーのアルバムでも演奏のみならず自作曲を提供して大きな貢献をしている。
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■パーカッション奏者のエムトゥーメ |
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■Buddy Terry / Awakeness ブロードウェイやTVでも活躍していたバディー・テリー のアルバム。エムトゥーメ作の《カミリ》を収録。 アフリカンなオープニングに続くメロウなエレクトリック ・ピアノ、およびエロティックなコンガが心地よい。 |
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■Herbie Hancock / Mwandishi デイヴィスの『イン・ア・サイレント・ウェイ』、ハンコ ックの前作『ザ・プリズナー』、ヒースの『カワイダ』、 この『エムワンディシ』と続けて聴いてみると、このアル バムと以降のハンコックの音楽が明確になるように思う。 |
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■Mtume Umoja Emsemble / Alkebu-Lan (Land Of The Blacks) 1971年の8月にライヴ録音された、一大音楽絵巻。 エムトゥーメは、演奏、作曲、編曲、プロデュースと、 後のルーカスとのプロデューサー時代に通じるような 多方面での活躍をみせてくれる。 |