ここ何日か、レジー・ルーカスとエムトゥーメのことが頭から離れない。といわれても、 なんのことだか、よくわからない人も多いだろう。「エムトゥーメってなに?」という人 も少なくないと思われる。レジー・ルーカスもエムトゥーメも人の名前である。エムトゥ ーメには、ジェームズ・フォアマンという”アメリカ人っぽい名前”もあるが、なぜエム トゥーメという名前になったのかは、いまは脇においておく。ジャズに詳しい人は、70年 代にリリースされたいくつかのアルバムで、彼らの名前を見かけたことがあるだろう。も っとも知られているのは、おそらくマイルス・デイヴィスのグループのメンバーとしての 彼らの演奏ではないかと思われる。デイヴィスが、ジャズというジャンルを大きく超えた ワン・アンド・オンリーの黒々とした劇的なエレクトリック・サウンドを創りだすアーテ ィストへと変貌した時期の音楽に、彼らの演奏は多大な貢献を果たしていた。
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■ギター奏者のレジー・ルーカス |
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■パーカッション奏者のエムトゥーメ |
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■Miles Davis / Get Up With It 《マイシャ》、《カリプソ・フレリモ》、《レイテッドX》 という、問答無用のブラック・ミュージックの傑作を含む、 デイヴィスのコンピレーション・アルバム。 ルーカスと エムトゥーメがいた時期のデイヴィスの音楽を俯瞰できる。 |
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■Mutume & Reggie Lucas / The Best Of Mutume & Lucas 彼らの手掛けた主要な楽曲を集めたコンピレーション。 ルーカスとエムトゥーメを振り返る前に、彼らが楽曲制作 チームとして作りあげたサウンドの概観を知るには便利な アルバムである。 |