●ジェームズ・ブラウンのファンク

ハービー・ハンコックの《カメレオン》とファンクの関係について考えていたら、ファン
クに対して靄がかかってしまった。なぜハンコックの《カメレオン》のベース・ラインに
ファンクを感じるのか。そこをうまく説明できないのである。そこで、なにかヒントが見
つかればと思い、ジェームズ・ブラウン、ミータ―ズ、クール&ザ・ギャング、スライ&
ザ・ファミリー・ストーン、ビリー・プレストンなどのアルバムをひっぱりだして(ある
いは新たに購入して)聴いているところだ。2011年ファンクへの旅である。正月そう
そう何をやっているのだろうなどとまったく思わないところが、我ながらあきれる。しか
し、知ってるつもりであったファンクに靄がかかってしまった以上、そのままにしてはお
けないのだ。《カメレオン》が収録された『ヘッド・ハンターズ』がリリースされたのは
1973年の11月。それ以前の音楽に、靄を取り除くヒントは必ずあるはずである。

まずは、ヘヴィーなベース・ラインさえあればファンクになるのかと考えてみる。しかし
、こういうことはネットで調べていてもはじまらない。というわけで、いろいろと聴いて
いるのだが、そうすると一筋縄ではいかないことがわかってくる。例えば、ファンクの創
始者といわれるジェームズ・ブラウンのヒット曲を聴いてみる。ブラウンの音楽には、確
かにファンクを感じる要素がある。しかしベース・ラインは、《カメレオン》のベース・
ラインように、メロディと同じくらい突出して印象深いリフというわけではない。ブラウ
ンのヒット曲における殆どのベース・ラインは、メインのブラウンのヴォーカルに対し、
印象深さの点ではギターやホーン・セクションと同等である。つまり、ブラウンのヒット
曲では、ギター、ベース、ホーン・セクションのそれぞれが、楽曲をファンキーにしてい
る要素(パーツ)といえるのである。

したがって、ブラウンのファンクというのは、一言でいえばパーツ型ファンクといえる。
その特徴は、高音域でコードをカッティングするギターとビートを細分化したベース・ラ
インが、まずグルーヴするリズムを創りだし、そのうえでブラウンがひたすらシャウトす
るスタイルが多い。テンポが早いのは、ライヴで観客をのせるためであろう。ブラウンは
小節の1拍目を強調するように、バック・バンドのメンバーに指示をしていたといわれて
いるが、そうすることによってリズム・セクションに気合を入れるようなかたちとなり、
よりグルーヴを持続させることができたのではないか。この特徴は1969年のヒット曲
《ノーバディ・トゥ・ギヴ・ミー・サムシング》などに顕著だ。以上が、簡単だがブラウ
ンのファンク・スタイルの特徴である。ハンコックの《カメレオン》とは。やはりスタイ
ルが異なるように思える。もう少し、いろいろなファンク聴いてみる必要がありそうだ。

Star Time ( James Brown )
cover
 
Released  : 1991

Disk1
1.Please, Please, Please, 2.Why Do You Do Me, 3.Try Me, 4.Tell Me What I Did Wrong,
5.Bewildered, 6.Good Good Lovin, 7.I'll Go Crazy, 8.I Know It's True,
9.(Do The) Mashed Potatoes Part 1, 10.Think, 11.Baby You're Right, 12.Lost Someone,
13.Night Train, 14.I've Got Money, 15.I Don't Mind, 16.Prisoner Of Love, 17.Devil's Den,
18.Out Of The Blue, 19.Out Of Sight, 20.Grits, 21.Maybe The Last Time, 22.It's A Man's World,
23.I Got You (I Feel Good), 24.Papa's Got A Brand New Bag

Disk2
1.Papa's Got A Brand New Bag (Part1), 2.I Got You (I Feel Good), 3.Ain't That A Groove,
4.It's A Man's, Man's, Man's World, 5.Money Won't Change You, 6.Don't Be A Dropout,
7.Bring It Up (Hipsters Avenue), 8.Let Yourself Go, 9.Cold Sweat, 10.Get It Together,
11.I Can't Stand Myself (When You Touch Me), Part1, 12.I Got The Feelin',
13.Licking Stick - Licking Stick, 14.Say It Loud - I'm Black And I'm Proud (Part1),
15.There Was A Time, 16.Give It Up Or Turnit A Loose,
17.I Don't Want Nobody To Give Me Nothing (Open Up The Door, I'll Get It Myself)

Disk3
1.Mother Popcorn, 2.Funky Drummer, 3.Get Up I Feel Like Being A Sex Machine, 4.Super Bad,
5.Talkin' Loud And Sayin' Nothing, 6.Get Up, Get Into It, Get Involved, 7.Soul Power,
8.Medley: Brother Rapp/Ain't It Funky Now, 
9.Hot Pants Part1 (She Got To Use What She Got To Get What She Wants), 10.I'm A Greedy Man,
11.Make It Funky, 12.Intro/ It's A New Day (So Let A Man Come In And Do The Popcorn),
13.I Got Ants In My Pants, 14.King Heroin

Disk4
1.There It Is, 2.Public Enemy #1, 3.Get On The Good Foot, 4.I Got A Bag Of My Own,
5.Doing It To Death, 6.The Payback, 7.Papa Don't Take No Mess (Part1),
8.Stoned To The Bone - Part1, 9.My Thang, 10.Funky President (People It's Bad),
11.Hot (I Need To Be Loved Loved Loved Loved), 
12.Get Up Offa That Thing / Release The Pressure, 13.Body Heat, Part1,
14.It's Too Funky In Here, 15.Rapp Payback (Where Iz Moses), 16.Unity, Part 1

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