●ロックへの旅：ショップ・アラウンド
    （ザ・ミラクルズ：1960）

キャロル・キングやニール・セダカといったアルドン・ミュージック関係のソング・ライ
ター達が書いた曲がチャートで上位を競っていた1961年２月、1960年代の音楽業界を代表
することになるレコード会社から、初の全米トップ・テン・ヒット曲が誕生しています。
黒人社長のベリー・ゴーディー・Ｊｒが経営するデトロイトのレコード会社のモータウン
がリリースした（実際は系列レーベルのタムラからリリース）、ザ・ミラクルズの《ショ
ップ・アラウンド》です。ザ・ミラクルズは、ビートルズやローリング・ストーンズが後
に楽曲をカヴァーすることになる、スモーキー・ロビンソン＆ザ・ミラクルズと同じグル
ープです。《ショップ・アラウンド》はミラクルズの初めてのシングルではないのですが
、モータウンの輝かしい歴史の幕開けをつげるにふさわしい曲と認知されているようで、
モータウンの代表曲を収録したアルバムの１曲目に収録されることが多い曲です。

資料によると、この曲は２度レコーディングされています。最初のヴァージョンはブルー
ジーなものだったそうで、よりポップな味付けがほどこされたのが、今日私達が聴いてい
るヴァージョンだそうです。数あるモータウン伝説のひとつですが、この話は本当なのだ
ろうと思います。ゴーディー・Ｊｒとロビンソンは、苦しい時期を共にした仲なのです。
まだミラクルズが別のグループ名で活動していた時期から、ゴーディ・Ｊｒはグループの
可能性を信じ、共にレコードを制作してきました。なかには、マディー・ウォーターズや
チャック・ベリーで有名なチェス・レーベルに録音したのもあります。そうした時期の金
銭的な不満によってゴーディー・Ｊｒはモータウン設立を決意し、ミラクルズは最初の契
約グループとなったのです。そのような経緯があるため、彼らに是が非でもヒットをさせ
たいという強い思いがあったであろうことは間違いないと思います。

いまこの曲を聴くと、古い感じをまぬがれません。ぼくはリード・ヴォーカルのロビンソ
ンの声には、《ウー・ベイビー・ベイビー》や《トラックス・オブ・マイ・ティアーズ》
といったスローな曲があうと思っているので、《ショップ・アラウンド》はいまひとつな
のです。アルドン・ミュージックのライター、とくにキャロル・キングの作風を思わせる
ことも、いかにもヒットを狙っているような印象を受けます。注目点は、ロックンロール
とガール・グループの時代を意識していたのか、ギターおよびコントラルトのクラウデッ
トの声を大きくミックスしているところだと思います。中性的なロビンソンの声とあいま
って、ロックな時代のガール・グループの曲のようにも聴こえる瞬間もあるのです。いず
れにしても、時間とカネをかけて改善しただけの成果をきちんとだしているところはモー
タウンらしいと思います（だからこそコンピレーションも幕開けにふさわしいのかも）。

《 Shop Around 》(The Miracles)

The Miracles　are Smokey Robinson(vo), Marv Tarplin(elg), Claudette Rogers Robinson(vo), Ronnie White(vo), Pete Moore(vo), Bobby Rogers(vo), Produced by Berry Gordy, Jr. Written by Berry Gordy, Jr. and William "Smokey" Robinson, Jr Recorded : 1960 Released : October 15, 1960 Charts : POP#2,R&B#1 Label : Tamla Appears on :The Ultimate Collection 1.Going To A Go-Go, 2.I Second That Emotion, 3.Shop Around, 4.Way Over There, 5.Bad Girl, 6.Who's Lovin' You, 7.I'll Try Something New, 8.You've Really Got A Hold On Me, 9.Mickey's Monkey, 10.I Like It Like That, 11.Ooo Baby Baby, 12.Choosey Beggar, 13.My Girl Has Gone, 14.The Tears Of A Clown, 15.Baby, Baby Don't Cry, 16.The Tracks Of My Tears, 17.The Love I Saw In You Was Just A Mirage, 18.(Come 'Round Here) I'm The One You Need, 19.More Love, 20.Special Occasion, 21.If You Can Want, 22.Yester Love, 23.We've Come Too Far To End It Now, 24.What's So Good About Goodbye, 25.(You Can) Depend On Me