●ロックへの旅(第五章):マイ・ジェネレーション
    (ザ・フー:1965)

ロック、ロック、ロック!”ガンガンガンガン”とヘッド・バンキングしたくなるような
ビート感覚がたまりません。そんな最初から最後までロックの塊のような曲が、ザ・フー
が3枚目のシングルとして1965年リリース(イギリスでは10月、アメリカでは11月)した
《マイ・ジェネレーション》です。イギリスではチャートの2位の大ヒットですが、アメ
リカでは残念ながら最高74位でした。しかし、チャートの順位と楽曲のクォリティは、
全く関係がありません。《マイ・ジェネレーション》はフーを代表する一曲となり、ロッ
ク全体でも代表的な一曲となりました。「オレの世代について話してんだ」というコーラ
スが繰り返された最後に「オレは年よりになる前に死にたい」と歌われる詞にも、強烈な
印象を持ちました。フーのパフォーマンスも大迫力で、とくにキース・ムーンの絶えずド
ラム・ソロをやっているような躁的なドラムには、とてもビックリしたものです。

さて、ボクが《マイ・ジェネレーション》で興味深く思うのは、”ガンガンガンガン”と
いう後のパンク・ロックに繋がるような激しい暴力的なビート感覚が、どこから来たのか
(どうやってできたのか)ということです。この曲が発売された1965年当時、ビートルズ
は《ヘルプ》、ローリング・ストーンズは《サティスファクション》の時代でした。不良
性を売り物にしていたローリング・ストーンズでさえ、《マイ・ジェネレーション》のよ
うな暴力的なビート感覚を持つ曲は発表していないのです。では、ボブ・ディランはどう
でしょう。《マイ・ジェネレーション》と同時代のヒット曲の《ライク・ア・ローリング
・ストーン》は暴力的な曲ですが、《マイ・ジェネレーション》のもっている”ビート感
覚による暴力性”とは暴力性の意味が異なります。《マイ・ジェネレーション》のような
暴力的なビート感覚を持つ曲は、1965年時点ではまったく見当たらないのです。

しかし突然変異のように新しいものが生まれることは、そうあることではありません。そ
のように考えたときに、浮かび上がってくるのがキンクスです。フーの最初のシングルの
《アイ・キャント・エクスプレイン》が、キンクスの《オール・オブ・ザ・ナイト》そっ
くりなのは有名な話です。この《オール・オブ・ザ・ナイト》のB面の《アイ・ゴッタ・
ムーヴ》が、ビート感覚、ベースのリード・ギターのようなフィーチャー、高温域への転
調など、《マイ・ジェネレーション》を連想させる要素に満ち溢れているのです。ボクが
言いたいのは、盗作とかそういう次元の話ではありません。《マイ・ジェネレーション》
のビート感覚がその時点で新しいものであり、それがどのように生まれたのかということ
です。キンクスの《アイ・ゴッタ・ムーヴ》は、《マイ・ジェネレーション》を創る際の
インスピレーションの元になったのは、おそらく間違いないとボクは思うのです。

《 My Generation 》( The Who )
cover

The Who Are
Roger Daltrey(vo), Pete Townshend(elg,back-vo), John Entwistle(elb,back-vo), Keith Moon(ds)


Written  by : Pete Townshend
Produced by : Shel Talmy
Released    : November 20, 1965 (US)
              October  29, 1965 (UK)
Charts      : POP#74(US),POP#2(UK)
Label       : Decca(US)

Appears on :My Generation
Disk1
1.Out In The Street, 2.I Don't Mind, 3.The Good's Gone, 4.La La La Lies, 5.Much Too Much, 6.My Generation,
7.The Kids Are Alright, 8.Please, Please, Please, 9.It's Not True, 10.I'm A Man, 11.A Legal Matter, 12.The Ox

+ bounus tracks

13.Circles, 14.I Can't Explain, 15.Bald Headed Woman, 16.Daddy Rolling Stone
Disk2
1.Leaving Here, 2.Lubie (Come Back Home), 3.Shout And Shimmy, 4.(Love Is Like A) Heat Wave, 5.Motoring,
6.Anytime You Want Me, 7.Anyhow Anywhere Anyway, 8.Instant Party Mixture, 9.I Don't Mind,
10.The Good's Gone, 11.My Generation (Instr.), 12.Anytime You Want Me, 13.A Legal Matter, 14.My Generation (Mono)

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