●ロックへの旅：セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー
    （ザ・ドリフタ―ズ：1960）

1950年代に、ロックンロール・クラシックの《マネー・ハニー》というヒットを飛ばした
のがドリフタ―ズというグループです。ドリフタ―ズといっても、カトちゃんや志村けん
のいるグループとは別のグループということはいうまでもありませんね。そのドリフタ―
ズから別のグループが名前を引き継いでできたのが、《スタンド・バイ・ミー》を歌った
ベン・Ｅ・キングを含む新生ドリフタ―ズです。新生ドリフタ―ズになってからの初めて
のクロスオーヴァー・ヒット（ポップ・チャートとＲ＆Ｂチャート双方でヒットすること
）による全米No.1が、《セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー》です。日本でも、
《ラスト・ダンスを私に》の邦題で、シャンソン歌手の越路吹雪のレパートリーとして有
名な曲です。このＲ＆Ｂのヒット曲が、そうしたジャンルを超えたスタンダードになりえ
たのはどのような理由があるのでしょうか。

まず新生ドリフタ―ズの成り立ちからわかることは、1950年代から1960年代のＲ＆Ｂ業界
は、あくまでスタッフ主導で作られていたということでしょう。”ドリフタ―ズ”という
看板が、プロデューサーやレコード会社にとっては一番重要であるということです。わか
りやすい日本の例でいえば”モーニング娘。”と同じで、グループ名そのものさえ維持さ
れていれば、スタート時と現在で全くメンバーが異なってもグループとして成立させてし
まうという方式なのです。ドリフタ―ズの場合は、違うグループに名前を譲ってしまった
わけですから、例えが適切かはわかりませんが”モーニング娘。”が”ＡＫＢ４８”に名
前を譲るみたいなものでしょうか。したがって《マネー・ハニー》を歌ったドリフタ―ズ
と、《セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー》を歌ったドリフタ―ズは、同名の別
のグループと考えたほうが適切かもしれません。

その新生ドリフタ―ズのプロデュースは、《監獄ロック》などでお馴染みのリーバ＆スト
ーラーです。新生ドリフタ―ズが名前負けしないようなヒットを求め、リーバー＆ストー
ラーはブリル・ビルディング周辺にいた作家達に楽曲を依頼したようです。《セイヴ・ザ
・ラスト・ダンス・フォー・ミー》を提供したのは、ドグ・ポーマスとモート・シューマ
ン。リーバー＆ストーラーは、ポーマスとシューマンの《セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・
フォー・ミー》に、新生ドリフタ―ズのデビュー曲《ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー》で
実績のあった華やかなストリングス・アレンジを施しました。ポーマスとシューマンの楽
しげな楽曲と、リーバー＆ストーラーによる華やかなプロデュースによりドリフタ―ズの
泥臭さは蓋をされ、結果的に《セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー》は、世界中
で愛されるジャンルを超えたスタンダードになったたのではないかと思うのです。

《 Save The Last Dance For Me 》 ( The Drifters )

The Drifters are Ben.E.King(lead tenor), Charlie Thomas(tenor), Doc Green(baritone) and Elsbeary Hobbs(bass) Bucky Pizzarelli, Allan Hanlon (elg), Lloyd Trotman (b), Gary Chester (ds) Produced by : Jerry Leiber & Mike Stoller Written by : Doc Pomus & Mort Shuman Recorded : 1960 Released : August, 1960 Charts : POP#1,R&B#1 Label : Atlantic Appears on :The Definitive Soul Collection Disc 1 1.Money Honey, 2.Such A Night, 3.Lucille, 4.Honey Love, 5.Bip Bam, 6.White Christmas, 7.Whatcha Gonna Do, 8.Adorable, 9.Steamboat, 10.Ruby Baby, 11.I Gotta Get Myself A Woman, 12.Fools Fall In Love, 13.There Goes My Baby, 14.Dance With Me, 15.(If You Cry) True Love, True Love Disc 2 1.This Magic Moment, 2.Lonely Winds, 3.Save The Last Dance For Me, 4.I Count The Tears, 5.Some Kind Of Wonderful, 6.Please Stay, 7.Sweets For My Sweet, 8.When My Little Girl Is Smiling, 9.Up On The Roof, 10.On Broadway, 11.I'll Take You Home, 12.Under The Boardwalk, 13.I've Got Sand In My Shoes, 14.Saturday Night At The Movies, 15.At The Club