●ロックへの旅(第五章):パパズ・ゴット・ア・ブランド・ニュー・バッグ
    (ジェームズ・ブラウン:1965)

1965年には、久しぶりに”ゴッドファーザー・オブ・ソウル”の異名をとるジェームズ・
ブラウンが、ポップ・チャートでトップ・テン入りをはたします。曲は《パパズ・ゴット
・ア・ブランド・ニュー・バッグ(邦題:パパのニュー・バッグ)》。ビートルズやボブ
・ディランがしのぎをけずる1965年のポップ・チャートでのベスト10入りですから、こ
れは大ヒットといってもよいでしょう。R&Bチャートでは、なんと8週間連続でNo.1。
ブラウンにしてみれば、一気に全米での人気が爆発したような感じでしょうか。それを裏
付けるように、当時のTVのヴァラエティー・ショ―に出演して、《パパズ・ゴット・ア
・ブランド・ニュー・バッグ》を披露しているブラウンの映像は数多く残されています。
ブラウンは歌手ですが、本質的には芸人でありエンタテイナーですので、機会があれば、
それらの映像を見てみることもお薦めします。

映像を見ることをすすめる理由は、この曲の一番のキモに関係ああります。《パパズ・ゴ
ット・ア・ブランド・ニュー・バッグ》という曲は、基本的には昔ながらの12小節のブ
ルース形式の曲です。その12小節の切れ目ごとに入る、エレクトリック・ギターの”チ
ャカチャカチャカ”(実際はもっと続く)というギターのカッティング・リフ。これが、
《パパズ・ゴット・ア・ブランド・ニュー・バッグ》という曲のキモです。このリフが、
実にカッコいい。初めて聴いたときは、衝撃ですらありました。音楽だけでも十分にカッ
コいいのに、TV出演時の映像を見ると、ブラウンはこのリフのところで、マイケル・ジ
ャクソンさながら(というよりもはるかに上手に)クルクルクルッと足を軸にしてカッコ
よく回転するのです。これがまた、カッコいい。子供時代のマイケルも、絶対真似をした
に違いありません。それが映像も一度見てみることをお薦めする理由です。

ホーン・セクションも、実にうまく使われています。ブラウンのヴォーカルに対して、”
パラパラパラパー”と応えるホーン・セクションは、明らかにゴスペルの形式を用いてい
ます。これはゴスペルの形式を取り入れたというよりも、自然とそうなってしまうのでし
ょう。このヴォーカル、ホーン・セクション、それに加えてギター、ベース、ドラムスの
間が作りだす独特グルーヴ感が、この曲の命です。そしてこの基本は8ビートなのだけど
16ビート感覚(ギターリフは16ビートそのもの)を感じさせるグルーヴ感は、1965年
時点ではまったく存在しなかった確実に新しいものでした。ディランの《ライク・ア・ロ
ーリング・ストーン》でロックが新しい時代に突入したように、ブラック・ミュージック
も《パパズ・ゴット・ア・ブランド・ニュー・バッグ》によって確実に新しいフェーズに
突入したといえるのではないでしょうか。

《 Papa's Got A Brand New Bag 》( James Brown )
cover

James Brown(vo)

Nat Jones(org), Jimmy Nolen(elg), Sam Thomas or Bernard Odum(elb), Melvin Parker(ds)
Joe Dupars(tp), Ron Tooley(tp), Levi Rasbury(tp), Wilmer Milton(tb), Nat Jones(as), 
Maceo Parker(ts), St. Clair Pinckney(ts), Eldee Williams(ts), Al "Brisco" Clark(ts),

Written  by James Brown
Produced by James Brown
Recorded  : February, 1965
Released  : June, 1965
Charts    : POP#8, R&B#1
Label     : King

Appears on : Foundations Of Funk: A Brand New Bag: 1964-1969
Disk1
1.Out Of Sight, 2.Papa's Got A Brand New Bag, Pts. 1 & 2, 3.I Got You (I Feel Good),
4.Money Won't Change You, Pts. 1 & 2, 5.Introduction/Out Of Sight/Bring It Up,
6.Let Yourself Go, 7.There Was A Time, 8.Cold Sweat, Pts. 1 & 2, 
9.Get It Together, Pts. 1 & 2, 10.Goodbye My Love, Pts. 1 & 2,
11.I Can't Stand Myself (When You Touch Me), Pts. 1 & 2,12.I Got The Feelin',
13.The Popcorn, 14.Cold Sweat (False Start And Studio Dialogue), 
15.Cold Sweat (Alternate Take)
Dsik2
1.Licking Stick-Licking Stick, 2.Say It Loud-I'm Black And I'm Proud, Pts. 1 & 2,
3.Give It Up Or Turnit A Loose, 4.You Got To Have A Mother For Me,
5.I Don't Want Nobody To Give Me Nothing (Open Up The Door I'll Get It Myself),
6.Let A Man Come In And Do The Popcorn, Pts. 1 & 2, 7.It's A New Day, Pts. 1 & 2,
8.Ain't It Funky Now, 9.Brother Rapp, 10.Funky Drummer, Pts. 1 & 2, 
11.She's The One, 12.Mother Popcorn

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