●ロックへの旅(第四章):カリフォルニア・ガールズ
    (ザ・ビーチ・ボーイズ:1965)

これは凄い!ビーチ・ボーイズの《カリフォルニア・ガールズ》を聴いた印象です。もは
や良い曲とか、カッコイイ曲というレヴェルを超えて、驚きのレヴェルに達しています。
なにが凄いって、サウンド・プロダクションです。1965年当時、ポップスの世界でこれだ
けのサウンドのレコードは、ビーチ・ボーイズの他に見当たりません。ビートルズの最新
アルバムは、まだ『ヘルプ』。ローリング・ストーンズは、《サティスファクション》で
やっと全米No.1になったばかり。後にロックの世界で語られるようになるグループの中で
、この時点でのビーチ・ボーイズと肩を並べられるだけのサウンドを創りあげていたグル
ープはいないのです。唯一、ライチャス・ブラザーズでヒットを飛ばしていたフィル・ス
ペクターが浮かびますが、おそらくスペクターでさえ《カリフォルニア・ガールズ》には
恐怖に似た焦りを感じたのではないでしょうか。

曲はおごそかな、オーヴァーチュアーで始まります。イントロ(前奏)ではありません。
これは、どう聴いてもオーヴァーチュアー(オペラなどに用いられる序曲)です。このオ
ーヴァーチュアーがあるのと無いのとでは、おそらく《カリフォルニア・ガールズ》のイ
メージは、全く違ったものになったでしょう。このオーヴァーチュアーのサウンドが、シ
ンフォニックで分厚いこと。セッション・ミュージシャンのキャロル・ケイの弾くエレク
トリック・ベースと、ライル・リッツのアップライト・ベースの低音と、きらびやかなピ
アノやギターの音、そしてベース・サックス(バリトン・サックスよりも低音が出せるサ
ックス)を含むサックス・セクションのサウンドが強力です。ちなみに下記には、この曲
のセッション・ミュージシャンを記してありますが、ぼくには、下記以外の楽器の音(例
えばハプシコードの音)も聴こえます。

この曲が収録された『サマー・デイズ(アンド・サマー・ナイツ)』は、過去へと後退し
たとの世評がありますが、それは歌詞の世界の話。サウンド・プロダクションに焦点をあ
てれば、前進している部分が多いとぼくは思うのです。その代表曲といえる《カリフォル
ニア・ガールズ》を聴いた同時代の心あるミュージシャンは、みな度肝を抜かれたことで
しょう。ビートルズが『ヘルプ』から『ラバー・ソウル』にむかったことにも、少なから
ず影響を与えたのではないかと思います(アメリカ盤『ラバー・ソウル』に、『サマー・
デイズ(アンド・サマー・ナイツ)』の影響を感じる《ドライヴ・マイ・カー》と、《ノ
ーウェア・マン》が収録されなかったことも関係あると思ったら考えすぎでしょうか)。
《カリフォルニア・ガールズ》は、現時点でビーチ・ボーイズが最も凄いサウンドを創っ
ていることを、結果的に同時代の同業者に高らかに宣言したのではないかと思います。

《 California Girls 》 ( The Beach Boys )
cover

cover




The Beach Boys are
Brian Wilson(cho),Carl Wilson(cho,12string-g), Dennis Wilson(cho), Al Jardine(cho) and  Mike Love(vo)


Bruce Johnston(cho)

Hal Blaine(ds),Carol Kaye(elb), Lyle Ritz(b), Al De Lory(org), Leon Russell(p), Frank Capp(vib), 
Jerry Cole(12-string-g), Howard Roberts(g), Steve Douglas(ts), Jay Migliori(bs), Jack Nimitz(bass-s),
Roy Caton(tp), Billy Strange(tambourine),

Written  by Brian Wilson & Mike Love
Produced by Brian Wilson
Recorded  : April 6 & June 4, 1965 Columbia Records Studio 
Released  : July 12, 1965
Charts    : POP#3
Label     : Capitol

Appears on :Today! / Summer Days(2in1)
Today!:
1.Do You Wanna Dance, 2.Good To My Baby, 3.Don't Hurt My Little Sister, 4.When I Grow Up (To Be a Man),
5.Help Me, Ronda, 6.Dance, Dance, Dance, 7.Please Let Me Wonder, 8.I'm So Young, 9.Kiss Me Baby,
10.She Knows Me Too Well, 11.In the Back of My Mind, 12.Bull Session with "Big Daddy"
Summer Days:
13.Girl from New York City, 14.Amusement Parks, U.S.A., 15.Then I Kissed Her, 16.Salt Lake City,
17.Girl Don't Tell Me, 18.Help Me, Rhonda [Single Version], 19.California Girls, 
20. Let Him Run Wild, 21. You're So Good To Me, 22. Summer Means New Love,
23.I'm Bugged At My Ol' Man, 24.And Your Dream Comes True

+ bounas tracks

25.The Little Girl I Once Knew, 26.Dance, Dance, Dance [Alternate Take], 
27.I'm So Young [Alternate Take], 28.Let Him Run Wild [Alternate Take], 29.Graduation Day [Studio Version]

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