●ロックへの旅(第四章):ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イズ・ラヴ
    (ジャッキー・デシャノン:1965)

1962年発売のビートルズのデビュー・アルバムに、ジョン・レノンのヴォーカルで収録
されたシレルズの《ベイビー・イッツ・ユー》。カーペンターズにとって初めての全米
No.1ヒットとなった、1970年の《(ゼイ・ロング・トゥ・ビー・)クローズ・トゥ・ユ
ー(邦題:遥かなる影》。MTV世代には忘れようにも忘れられない1981年のクリスト
ファー・クロスの全米No.1、《アーサー’ズ・テーマ(ベスト・ザット・ユー・キャン
・ドゥ(邦題:ニューヨーク・シティ・セレナーデ)》。ヒットした年代も様々なこの
3曲には、ある共通点があります。さて、それはなんでしょうか。その答えは、バート
・バカラック。3曲とも、バカラックの作品です。そのバカラックが、ビートルズの余
熱さめやらぬ1965年に放った大傑作が、ジャッキー・デシャノンが歌った《ホワット・
ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イズ・ラヴ(邦題:愛を求めて)》です。

この曲が、もう名曲中の名曲なのです。イントロのメロディだけで、すぐにバカラック
とわかる洗練されたサウンド。ビートルズ以降のブリティッシュ・インヴェイジョンや
、モータウンの波にも全くといって影響を受けていない、確固たる個性を持ったサウン
ドがここに存在しています。このサウンドは、やがて60年代を代表するサウンドの一つ
となっていくのです。《ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イズ・ラヴ》は、既
にバカラックの《ウォーク・オン・バイ》のヒットをもつディオンヌ・ワーウィックの
ために当初書かれたそうですが、ワーウィックが歌うのを断ったためにデシャノンが歌
うことになったという逸話があります。《ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イ
ズ・ラヴ》は、バカラックのはじめてのメッセージ・ソングと言われているため、ワー
ウィックが歌わなかった理由も、そのあたりに関係があるのかもしれません。

しかし結果として、ワーウィックは大きな損をしたのではないでしょうか。なぜなら、
《ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ・イズ・ラヴ》は、デシャノンは生涯の代表
曲というだけでなく、バカラックの作品の中でも屈指の名曲だからです。発表された当
時、同時代の心あるソングライター達は、バカラックの洗練されたメロディとサウンド
に大きなショックを受けたに違いありません。1960年代という時代性を感じさせる半面
、いま聴いても全く古びない洗練された魅力を持っているところが、バカラックの創る
メロディの凄いところなのです。だからこそバカラックは、60年代、70年代、80年代と
時代は変わっても、いくつものNo.1ヒットを生みだすことができたのでしょう。最後に
なりましたが、メインのメロディが終わってデシャノンが語るように歌うのは、ボブ・
ディランの影響なのでしょうか。デシャノン本人に訊いてみたい気がします。

《 What The World Needs Now Is Love 》 (Jackie DeShannon)
cover

Jackie DeShannon(vo)


Written  by Hal David & Burt Bacharach
Recorded  : March 23, 1965 at New York's Bell Sound studios, New York
Released  : April 15, 1965
Charts    : POP#7
Label     : Imperial

Appears on : What the World Needs Now Is... Jackie DeShannon : The Definitive Collection 
1.Buddy
2.Heaven Is Being With You, 3.You Won't Forget Me, 4.Needles And Pins, 5.Hellos And Goodbyes, 
6.When You Walk In the Room, 7.Till You Say You'll Be Mine, 8.Breakaway, 9.Should I Cry?,
10.I Remember The Boy, 11.Dream Boy, 12.Don't Turn Your Back On Me, 13.What The World Needs Now Is Love,
14.Lifetime Of Loneliness, 15.Come And Get Me, 16.Splendor In The Grass, 17.For Granted, 18.Windows And Doors,
19.I Can Make It With You, 20.500 Miles From Yesterday, 21.Where Does The Sun Go?, 22.It Shines On You Too,
23.Reason To Believe, 24.Weight, 25.Come And Stay With Me, 26.Put A Little Love In Your Heart,
27.Love Will Find A Way, 28.Brighton Hill, 29.Radio Commercial, 30.Radio Commercial

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