●ロックへの旅(第四章):ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ
    (ザ・ライチャス・ブラザーズ:1965)

ビル・メドレーとボビー・ハットフィールドという2人の白人男性歌手からなるデュオと
いえば、フィル・スペクターがプロデュースした全米No.1ヒット《ユーヴ・ロスト・ザッ
ト・ラヴィン・フィーリン》で有名なライチャス・ブラザーズです。昨今では、《ユーヴ
・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリン》よりも、大ヒット映画「ゴ―スト/ニューヨ
ークの幻」で多くの人が(ライチャス・ブラザーズが歌っているということを知らなくて
も)聞いたことがある《アンチェインド・メロディ》のほうが有名かもしれません。しか
し、ぼくが彼らの曲で一番感心してしまうのは、《ロコモーション》などのヒット曲で有
名な作家コンビのジェリー・ゴフィンとキャロル・キングが創り、前作の《ユーヴ・ロス
ト・ザット・ラヴィン・フィーリン》に続いてフィル・スペクターがプロデュースを行っ
た1965年の《ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ》なのです。

何に感心するのかというと、なんといってもスペクターの創る物凄いサウンドです。《ジ
ャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ》という曲は、スペクター自身も作者としてクレジ
ットされていますが、基本的にはゴフィン&キングらしい愛らしい曲です。作者のキャロ
ル・キングが弾き語りで歌ったら、まったく違う表情の曲になるでしょう。それを、こう
も見事にライチャス・ブラザーズのカラ―に合わせてしまうところが、まったくもって凄
いです。アレンジメントの話をしているのではありません。もちろんアレンジメントあっ
てのことなのですが、ライチャス・ブラザーズのパフォーマンス(メイン・ヴォーカルの
メドレーだけでなくハットフィールドも前作以上にソウルフルです)やミュージシャンの
演奏も含めて、とてつもないサウンド・カラーに仕立て上げてしまうというところに本当
に感心してしまうのです。

そしてそのサウンドの迫力は、いったい何人のミュージシャンが参加しているのかと確か
めてみたくなるくらい物凄い音圧です。《ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ》のサ
ウンドや構成は、基本的に前作の《ユーヴ・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリン》を
踏襲しているのですが、サウンドの物凄さは確実に前作に勝っています。とくに曲をドラ
イヴさせているドラムス(おそらくハル・ブレイン)が凄い。ブレインに代表されるレッ
キング・クルーと呼ばれたスペクターお抱えの西海岸のセッション・ミュージシャンを中
心に、ストリングスとコーラスが加わる驚異的なサウンドは、スペクターのプロデュース
作品の中でもベスト3に入るとぼくは思っているのです(ちなみに、あとの2曲はクリス
タルズの《ダ・ドゥ・ロン・ロン》と、アイク&ティナ・ターナーの《リヴァー・ディー
プ・マウンテン・ハイ》でした)。

《 Just Once In My Life 》 ( The Righteous Brothers )
cover

The Righteous Brothers are
Bill Medley & Bobby Hatfield


Written  by Gerry Goffin, Carole King & Phil Spector.
Produced by Phil Spector
Released  : 1965
Charts    : POP#1
Label     : Philles(US)

Appears on :The Very Best Of The Righteous Brothers 
1.You've Lost That Lovin' Feelin', 2.Unchained Melody, 3.(You're My) Soul And Inspiration,
4.Ebb Tide, 5.Just Once In My Life, 6.White Cliffs Of Dover, 7. He, 8.Hung On You,
9.Little Latin Lupe Lu, 10.Go Ahead And Cry, 11.See That Girl, 12.On This Side Of Goodbye

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