●ロックへの旅:オー!キャロル
    (ニール・セダカ:1959)

最近の大手CDショップではあまり見かけなくなった(あるのかもしれませんが、あまり
意識させないようになっているのかも)が、少し前までは多くのCDショップ(元のレコ
ード・ショップ)には、必ず”オールディーズ”というコーナーがありました。CDショ
ップだけではなく、オールディーズ専門を中心としたライヴ・ハウスが存在するように、
日本では”オールディーズ”と呼ばれる音楽は、音楽ファン(ことに洋楽ファン)の間で
はなじみ深いものだと思います。では”オールディーズ”と呼ばれる音楽は、いったいど
のような音楽なのでしょうか。いろいろと人によって意見が分かれるのかもしれませんが
、一般的にオールディーズの名のもとに親しまれている音楽は、ビートルズが登場する以
前のアメリカン・ポップスが多いと思います。とくにブリル・ビルディング系と呼ばれる
音楽は、日本でも数多くがヒットしたため、日本人にはなじみ深いのではと思います。

ブリル・ビルディング系の音楽という呼び方は、少しマニアックな表現かもしれません。
ブリル・ビルディング系の音楽というのは、ニューヨークの音楽出版社が入居しているビ
ルに出入りしていたソングライター達が作ったヒット曲を指します。その代名詞的な存在
なのが、ニール・セダカではないでしょうか。現在も現役(「このアルバムは、私の最後
のポップ・ソングのセットになるだろう」と述べている近作もそろそろ発売されるようで
す)の彼は、ソロ・シンガーとして自らも数多くのヒット曲を量産する傍らで、コニ―・
フランシスに提供した《ボーイ・ハント》などでもヒットを飛ばしました。セダカも、ポ
ール・アンカと同じように、正当なロック史の中では無視されることが多い人ですが、と
びっきりの躁状態のようなリズミックで楽しい彼の音楽は、一度聴いたら忘れない類の音
楽であることは間違いないと思います。

そのセダカのソロとしての最初のヒット曲が、同じくブリル・ビルディング系のソングラ
イター仲間だったキャロル・キングに向けて書いたという《オー!キャロル》です。セダ
カは、メロディー・メイカーとしてロック・ポップスの世界でも屈指といえる人で、70年
代にキャプテン&テニールに提供した《愛ある限り》などを聴くと、非常にモダンな感覚
を持っているソングライターだと思います。しかし《オー!キャロル》では、セダカのメ
ロディ・メイカーとしての本領は十分に発揮されていません。《オー!キャロル》は、ダ
イアモンズがヒットさせたオールディーズの代表的なナンバー《リトル・ダーリン》を思
わせなくもありません(裏声のような声のコーラスが入るイントロや、間奏でセリフが入
るところなどもソックリです)。しかしセダカを感じさせるのはやはりメロディで、つん
のめるようなところ、明らかに天性の才能を感じさせるのです。

《 Oh! Carol 》( Neil Sedaka )
cover

Neil Sedaka(vo)

Written  by : Neil Sedaka
Released    : 1959
Charts      : POP#9
Label       : RCA

Appears on :The Best Of Neil Sedaka 
1.One Way Ticket, 2.Calendar Girl, 3.Little Devil, 4.You Mean Everything to Me,
5.Sweet Little You, 6.The Diary, 7.I Go Ape, 8.Oh! Carol, 
9.Breaking Up Is Hard To Do, 10.King Of Clowns, 11.The World Through A Tear, 
12.Stupid Cupid, 13.Happy Birthday Sweet Little Sixteen, 
14.Next Door to an Angel, 15.Going Home To Mary Lou, 16.Stairway to Heaven, 
17.Let's Go Steady Again, 18.Alice In Wonderland, 19.Bad Girl, 20.Superbird

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