●ロックへの旅(第四章):マイ・ガール
    (ザ・テンプテイションズ:1965)

モータウンのリズムを支えた革新的なベーシストのジェイムズ・ジェマーソンが弾く”デ
・ドド、デ・ドド”というベース音に導かれ、同じくモータウンの楽曲を支えたファンク
・ブラザーズのギタリストのロバート・ホワイトが作ったというあまりにも有名なギター
のイントロが流れてくると、「ああ、いいなぁ、明るいなぁー」と妙に感慨にふけってし
まうのがテンプテーションズの1965年の全米No.1ヒット《マイ・ガール》です。テンプテ
ーションズとしては初めての全米No.1ヒットであり、モータウンにとっても前年のスプリ
ームスのヒットに続く全米No.1ヒット曲でした。作者は、モータウンの創業者の片腕的な
存在であったウィリアム・”スモーキー”・ロビンソンとロナルド・ホワイト。二人とも
ビートルズがカヴァーした《ユーヴ・リアリ―・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー》で
有名な、ミラクルズのメンバーです。

ロビンソンが作ったこの《マイ・ガール》は、モータウンを代表する曲を選ぶとしたら、
必ず上位にランクされる曲でしょう。そう思う理由は、楽曲、歌、演奏、アレンジの、ど
れをとっても素晴らしいとしかいいようがないからです。もともとの楽曲はシンプルな曲
なのですが、印象的なイントロ、ブラスとストリングスをうまく使ったアレンジ、スタイ
リッシュなテンプテーションズの魅力的なパフォーマンスによって、奇跡的な1曲に仕上
がっていると思います。とくにイントロのフレーズは見事で、ある意味ではメイン・メロ
ディ以上に印象的なフレーズなのです。編曲というよりも作曲とっていってもよく、それ
はこのフレーズが北島三郎の《函館の女》の出だし「はぁーるばる、きたぜ、はぁーこだ
てー」の”はぁーるばるきた”までの音と全く同じ(音符の長さは微妙に違いますが)と
いう事実でもわかると思います。

そして、やはりもっとも素晴らしいのは、なんといっても主役のテンプテーションズによ
るパフォーマンスです。なかでもリード・ヴォーカルをとるデヴィッド・ラフィンの素晴
らしい歌。歌詞の最初のワン・フィレーズ「アイ・ガッ・サンシャーァアイン(I,ve got
a sunshine)」で、パーっとまばゆい太陽の光が差し込んでくるような気がします。そし
てキメの「マイ・ガール」と歌うと「マイ・ガー、マイ・ガー」と続くコーラスのカッコ
よさ。さらに2番が終わり一度イントロのベースのフレーズに戻ったあとの素晴らしいス
トリングスによるメロディと、それに乗せたテンプテーションズの「ヘ、ヘイ、ヘイ」と
いうコーラスのカッコよさ。ミック・ジャガーやダリル・ホールのような白人の青年達ま
で虜にした、スタイリッシュなテンプテーションズをこれでもかと詰め込んだ、ただただ
カッコイイ曲が《マイ・ガール》なのではないかと思います。

《 My Girl 》( The Temptations )
cover

The Temptations are
Melvin Franklin, Eddie Kendricks, Otis Williams, Paul Williams & David Ruffin.


Written  by Smokey Robinson & Ronald White
Produced by Smokey Robinson & Ronald White
Recorded  : September 25, November 10 & November 17, 1964
      Hitsville USA (Studio A) 
Released  : December 21, 1964
Charts    : POP#1
Label     : Gordy(US)

Appears on :The Temptations Sing Smokey
1.Way You Do The Things You Do, 2. Baby, Baby I Need You, 3.My Girl,
4.What Love Has Joined Together, 5.You'll Lose A Precious Love, 6.It's Growing,
7.Who's Lovin' You, 8.What's So Good About Goodbye?, 9.You Beat Me To The Punch,
10.Way Over There, 11.You've Really Got a Hold On Me, 12.(You Can) Depend On Me
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