●ロックへの旅：プット・ユア・ヘッド・オン・マイ・ショルダー
    （ポール・アンカ：1959）

《プット・ユア・ヘッド・オン・マイ・ショルダー（邦題：あなたの肩に頬うめて）》は
、16歳のときに《ダイアナ》を歌い、一躍ティーンエイジ・アイドルとして有名になった
ポール・アンカの、1959年の全米ヒット（チャート２位）曲です。曲は、アンカがもっと
も得意とする３連バラードの傑作。アンカのもうひとつの３連バラードの傑作《ユー・ア
ー・マイ・デスティニー（邦題：君はわが運命）》と同じく、歌の最初の部分から曲のタ
イトルと同じ「プット・ユア・ヘッド・オン・マイ・ショルダー」という歌詞を使って、
絶妙に曲を聴き手の頭にインプットする作戦は、ソングライターとしてなかなかの手腕と
言わざるをえません。しかし、この曲の時点でもアンカはまだ18歳。バリバリのティーン
・エイジャーです。《ユー・アー・マイ・デスティニー》もそうですが、わずか18歳にし
て情熱的なバラードを歌いきるアンカの才能には、やはり目を見張るものがあるのです。

《プット・ユア・ヘッド・オン・マイ・ショルダー》は、情熱的なマイナー・メロディが
印象的な《ユー・アー・マイ・デスティニー》とは対照的に、明るいロッカ・バラードで
す。1959年はハワイがアメリカに併合された年の影響か、アレンジやメロディにハワイア
ンの影響が感じられます。ロック史的に注目は、なんといってもそのタイトルです。関連
があるのかないのか、ロック史に燦然と輝くビーチ・ボーイズの傑作アルバム『ペット・
サウンズ』に収録された１曲《ドント・トーク》の副題に、この曲のタイトルがそっくり
そのまま《ドント・トーク（プット・ユア・ヘッド・オン・マイ・ショルダー）》と使わ
れています。アンカとほとんど年齢が変わらないブライアン・ウィルソンが、全米ヒット
のこの曲を知らないわけはないですから、ウィルソンがこの曲のタイトルからインスピレ
ーションを受けて《ドント・トーク》を書きあげた可能性もないとは言えないでしょう。

そのような作詞・作曲面でのアンカの才能について、近年のロック＆ポップス史の中で、
まともにむきあっているものにはお目にかかったことがありません。アンカは単なるティ
ーン・エイジ・アイドルではなく、自分で曲を書き歌うシンガー・ソングライターのさき
がけであり、その意味ではエディ・コクランやバディ・ホリーと同様に注目・評価されて
もよい人物なのです。デビュー曲の《ダイアナ》から1960年まで、６曲もトップ10入りし
たヒットを放っているのです。しかしロック史のなかでは欠かせないコクランやホリーと
は対照的に、アンカは微妙な扱いどころかほとんど無視の存在なのです。フランク・シナ
トラ、マイケル・ジャクソンから、田原俊彦にまで楽曲提供してしまうような姿勢に問題
があるのでしょうか。しかし早熟なシンガー・ソング・ライターとしての才能は、そろそ
ろきちんと評価したほうが良いと思うのです。

《 Put Your Head On My Shoulder 》( Paul Anka )

Paul Anka(vo) Written by : Paul Anka Produced by : Don Costa Released : 1959 Charts : POP#2 Label : ABC Appears on :THE GOLDEN BOWL : Paul Anka Original Gretest Hits 1.You Are My Destiny, 2.Lonely Boy, 3.That's Love, 4.Diana, 5.Don't Gamble With Love, 6.Put Your Head On My Shoulder, 7.Crazy Love, 8.Adam and Eve(1963 version), 9.My Home Town, 10.Let The Bells Keep Ringing, 11.Tell Me That You Love Me, 12.I Miss You So, 13.Something Has Changed Me, 14.Don't Ever Leave Me 15.Uh-Huh, 16.The Story Of My Love, 17.Loveland, 18.Tonight My Love, Tonight, 19.Kissin' On The Phone, 20.Puppy Love, 21.I Love You In The Same Old Way, 22.I Remember, 23.You Are My Destiny 2002(THE GOLDEN BOWL Version)