●ロックへの旅(第四章):シャ・ラ・ラ
    (マンフレッド・マン:1965)

ジャック・ブルースがエリック・クラプトンとクリームを結成する前にいたグループとし
て有名なマンフレッド・マンは、ジェフ・バリーとエリー・グリーンウィッチ作の《ドゥ
・ワ・ディディ・ディディ》で1964年の10月に全米No.1に輝きました。しかしぼくが彼ら
の最高作だと思っているのは、《ドゥ・ワ・ディディ・ディディ》ではありません。ぼく
が彼らの最高のシングルだと思っているのは、1965年1月の全米ヒット《シャ・ラ・ラ》
なのです(リリースは1964年10月)。全米チャートでは12位とトップ10にあと一息の成績
でしたが、母国のイギリスでは3位と健闘しています。しかし《シャ・ラ・ラ》は、エキ
サイターズのカヴァーの《ドゥ・ワ・ディディ・ディディ》と同じように、彼らのオリジ
ナル曲ではありません。《シャ・ラ・ラ》は、ジェリー・ゴフィン&キャロル・キングの
《ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ》のヒットを持つシレルズがオリジナルです。

しかしジャズ出身で演奏力に定評のあるマンフレッド・マンは、単なるカヴァーの域を超
えたオリジナルに匹敵する作品にしあげています。ビートルズによる《ツィスト&シャウ
ト》や《ロック・アンド・ロール・ミュージック》のカヴァーがオリジナルを軽く凌駕し
ているように、マンフレッド・マンの《シャ・ラ・ラ》もシレルズ・ヴァージョンを軽く
凌駕しているのです。とくにドラムスのマイク・ハグによるドライヴするビートは特筆も
のです。そのビートににのせて、オルガンによるポップなメロディのイントロと「シャラ
ラーラ、ラララ」という一回聴けばすぐに覚えてしまう印象的なコーラスによるイントロ
で、一気に曲の世界に引き込まれてしまいます。《シャ・ラ・ラ》リリースは1964年なの
ですが、ヒットしたのが1965年のため、この曲からロックンロールからロックへの過渡期
のうちでもっとも明るかった1965年が始まったような印象を受けるのです。

最大の聴きどころは、忘れられた60年代ヴォーカリストのひとりであるポール・ジョーン
ズのヴォーカルです。「シャララーラ、ラララ」とくるコーラスに入れる「オオゥオー」
とか「オゥイェー」というブッとい声の合いの手がたまらなくロックしており、カッコイ
イことこのうえないのです。そして曲のクライマックスといえる「シャララー、セイ・ユ
ー・ラヴ・ミー・トゥ」で始まるサビのカッコイイこと。マイナー調に下がっていく部分
では、やはりジョン・レノンの歌い方の大きな影響を感じます。しかしそんな影響を軽く
吹き飛ばすほど、サビにおけるポール・ジョーンズの歌い方はカッコイイのです。曲のク
ライマックスとなっているサビが、コーラスを間に挟まずに2回繰り返されるという曲の
構成も、《シャ・ラ・ラ》をカッコイイ曲にしている大きな要因のひとつといえるでしょ
う。聴いたことがないロック・ポップス・ファンは必聴の曲です。

《 Sha La La 》( Manfred Mann )
cover

Manfred Mann are
Manfred Mann(org), Mike Hugg(ds,perc), Mike Vickers(elg,g), Paul Jones(vo),
Tom McGuinness(elb)


Written  by Luther Dixon, Robert Mosley, Curtis Ousley & Robert Taylor
Produced by John Burgess
Recorded  : 1964
Released  : October  9,1964(UK)
            October 13,1964(UK)
Charts    : POP#3(UK),POP#12(US)
Label     : EMI(UK)
            Ascot(US)

Appears on :The Best of Manfred Mann
1.Do Wah Diddy Diddy, 2.Cock-A-Hoop, 3.I've Got My Mojo Working,  
4.Sticks And Stones, 5.5-4-3-2-1, 6.Why Should We Not, 7.I'm Your Kingpin,  
8.Without You, 9.I Put A Spell On You, 10.Hubble Bubble (Toil And Trouble),  
11.Dashing Away With A Smoothing Iron, 12.Sha La La, 
13.I Can't Believe What You Say, 14.The One In The Middle, 15.Watermelon Man,  
16.With God On Our Side, 17.Come Tomorrow, 18.It's Gonna Work Out Fine, 19.She,  
20.Oh No Not My Baby, 21.My Little Red Book, 22.Come Home Baby, 
23.Pretty Flamingo, 24.If You Gotta Go, Go Now,  
25.Tired Of Trying, Bored With Lying, Scared Of Dying, 
26.There's No Living Without Your Loving, 27.You Gave Me Somebody To Love,  
28.5-4-3-2-1 (Ready Steady Go Theme), 29.Do Wah Diddy Diddy (Unedited Version)  

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