●ロックへの旅(第三章):リーダー・オブ・ザ・パック
    (ザ・シャングリラス:1964)

1964年のアメリカのヒット・チャートをみると、ガール・グループの曲がチャートの上位
を占めていることが多いことに気がつきます。連続5曲もの全米No.1ヒットという偉業を
成し遂げたスプリームスを筆頭に、《チャペル・オブ・ラヴ》で全米NO.1を獲得したディ
キシー・カップス、《ヒート・ウェイヴ》や《ダンシング・イン・ザ・ストリート》とい
う必殺のモータウン・ナンバーでスマッシュ・ヒットを放ったマーサ&ザ・ヴァンデラス
といったグループが、チャートの上ではイギリスから押し寄せてくる数多くのグループと
競い合っていたのです。スプリームス、ディキシー・カップス、マーサ&ザ・ヴァンデラ
スといったイギリス勢を迎え撃ったグループは、みな黒人のガール・グループです。チャ
ートで健闘した、白人のガール・グループはいなかったのでしょうか。忘れられない全米
No.1ヒットをもつ白人のガール・グループが、一組いました。シャングリラスです。

その全米No.1ヒットは、《リーダー・オブ・ザ・パック(邦題:黒いブーツでぶっとばせ
)》です。シャングリラスは、二組の姉妹からなる4人組のグループでした。しかし、リ
ード・ヴォーカルのメアリー・ワイスの姉のエリザベスは活動に加わらないこともあった
そうで、しばしばトリオでの活動となったそうです。下のアルバム・ジャケットにもエリ
ザベスの姿は写っていません。彼女達は、若きプロデューサーのジョージ・”シャドウ”
・モートンの手によって発掘されます。そして《ハウンド・ドッグ》の作者として有名な
リーバー&ストーラーが作ったレッド・バード・レコードと契約して、この全米No.1ヒッ
トをとばすことになるのです。このとき、リード・ヴォーカルのワイスはまだ15歳。そし
て若きモートンに力を貸したのが、レッド・バードにライター・チームとして参加してい
たヒット・メイカーのジェフ・バリーとエリー・グリーンウィッチでした。

モートンとバリー&グリーンウィッチが手を組んだ《リーダー・オブ・ザ・パック》は、
バリー&グリーンウィッチの傑作、ロネッツの《ビー・マイ・ベイビー》のようなポップ
な曲調です。それだけでも十分にヒットすると思われますが、この曲を忘れられなくして
いるのは、ラジオ・ドラマのような創りなのです。エコーがタップリの重厚なサウンド、
セリフになっている一部の歌詞、そして曲のキモというべきオートバイや事故の効果音と
、まるで3分弱の音楽ドラマを聞いているような印象なのです。歌詞も、少女が不良少年
と出会い恋に落ちるが、最後に彼が事故で死んでしまうという、いつの時代も少女が好む
ストーリーなのです。これらの要素が実に印象的に繰り返され(現在のラジオCMに似て
います)、この曲を一度聴いたら忘れられない曲にしているのです。《リーダー・オブ・
ザ・パック》は、ラジオでヒット曲を楽しむ時代が生んだ最高の曲ではないでしょうか。

《 Leader Of The Pack 》( The Shangri-Las )
cover

The Shangri-Las are
Betty Weiss, Mary Ann Ganser, Marge Ganser & Mary Weiss

Produced   : George "Shadow" Morton
Written    : George "Shadow" Morton, Jeff Barry & Ellie Greenwich
Recorded   : 1964
Released   : 1964
Charts     : POP#1
Label      : Red Bird

Appears on :Leader Of The Pack
1.Give Him A Great Big Kiss, 2.Leader Of The Pack, 3.Bull Dog, 
4.It's Easier To Cry, 5.What Is Love, 6.Remember (Walking In The Sand),
7.Twist And Shout[Live], 8.Maybe[Live], 9.So Much In Love[Live], 10.Shout[Live],
11.Good Night, My Love, Pleasant Dreams[Live], 12.You Can't Sit Down[Live],
13.Out In The Streets, 14.I'm Blue, 15.I Can Never Go Home Anymore, 16.He Cried,
17.Dressed In Black

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