●ロックへの旅：チャーリー・ブラウン
    （コースターズ：1959）

コースターズの一連のヒット曲は、ノベルティ・ソングとよく言われます。このノベルテ
ィ・ソングというものは、日本ではコミック・ソングと訳されることが多いようです。ぼ
くには、これがどうもピンときません。一般的にコミック・ソングという言葉から想像す
るのは、コントや漫才など”笑い”を商売にしている人やグループが歌う、コミカルな要
素をもった曲ではないでしょうか。わかりやすい例でいうと、クレージー・キャッツの一
連のヒット曲です。しかしコースターズの曲は、ビートルズやローリング・ストーンズを
はじめ、数々のロック・グループがカヴァーしています。ぼくは芸人さんが歌うコミック
・ソングは決して嫌いではない（むしろ大好き）のですが、彼らが歌うようなコミック・
ソングと、ビートルズやストーンズが夢中になってカヴァーしたコースターズのノベルテ
ィ・ソングというものが、同じものにはどうしても思えないのです。

確かにコースターズのヒット曲は、ロックンロールのリズムで楽しい曲調のものが多く、
そのことだけをとってみれば数々のロック・グループが彼らのレパートリーをカヴァーし
ているのも頷けるものがあります。しかしロックのリズムを取り入れた曲だからといって
、コント・グループや漫才師の曲をカヴァーするロック・グループは想像しがたいし、企
画モノではなくレパートリーに取り入れているようなグループは実際にいないことでしょ
う。つまりコースターズのノベルティ・ソングというのは、普通にイメージするところの
コミック・ソングとは違うもののハズです。もっと自分自身の感覚に近いものはとときど
き考えていたのですが、彼らの1959年のヒット曲《チャーリー・ブラウン（邦題：怪漢チ
ャーリー・ブラウン》を聴いて、エルヴィスの歌った《ハウンド・ドッグ》の歌詞も書い
たジェリー・リーバーの歌詞の意味を知ったとき、その謎が少し解けた気がしました。

《チャーリー・ブラウン》に出てくる主人公のチャーリー・ブラウンは、おそらく中・高
校生です。タバコも吸っているので、真面目な生徒ではありません。ここでハタと気がつ
いたのです。かつて自分も同じようなことを歌った曲に夢中になり、その曲で「ロックン
ロールのリズムを憶えた」などと書いたものがあったことを。それは小学生のときにＴＶ
でみた、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの《スモーキン・ブギ》という曲です。《チャ
ーリー・ブラウン》と同じくちんたらした不良が出てくる歌詞で、テンポの早いロックン
ロール調の《スモーキン・ブギ》に、夢中になったことを思い出したのです。コミック・
ソングに分類されることもあるようですが、《スモーキン・ブギ》をノヴェルティ・ソン
グというのであれば、《チャーリー・ブラウン》がヒットした理由や、若かりしビートル
ズやストーンズのメンバーが夢中になった理由も少し理解できるような気がするのです。

《 Charlie Brown 》( The Coasters )

The Coasters are Carl Gardner(lead tenor),Leon Hughes(second tenor),Billy Guy(baritone), Bobby Nunn(bass) and Adolph Jacobs(elg) unknown(p), unknown(b), unknown(ds), Maybe King Curtis(ts) Written by : Jerry Leiber/Mike Stoller Produced by : Jerry Leiber/Mike Stoller Recorded : December, 1958 Released : January, 1959 Charts : POP#2, R&B#2 Label : Atco Appears on :The Very Best Of The Coasters 1.Riot in Cell Block #9, 2.Smokey Joe's Cafe, 3.Down in Mexico, 4.Searchin', 5.Idol With the Golden Head, 6.Young Blood, 7.Yakety Yak, 8.Charlie Brown, 9.Along Came Jones, 10.That Is Rock & Roll, 11.I'm a Hog for You Baby, 12.Poison Ivy, 13.What About Us, 14.Run Red Run, 15.Little Egypt, 16.Shoppin' for Clothes