●ロックへの旅(第三章):ホェア・ディド・アワー・ラヴ・ゴー
    (ザ・スプリームス:1964)

ビートルズに代表されるブリティッシュ・インヴェイジョンに対して、アメリカのチャー
トで一番驚くべき活躍を見せたのは、ビーチ・ボーイズでもフォー・シーズンズでもあり
ませんでした。1964年の夏から連続して5曲の全米No.1ヒットを連発するという驚くべき
活躍をみせたのは、デトロイト出身の黒人の女の子3人からなるグループのスプリームス
です。その彼女たちの5曲連続No.1の幕開けとなった曲が、《ホェア・ディド・アワー・
ラヴ・ゴー(邦題:愛はどこへ行ったの)》という曲です。しかしこのNo.1ヒットの連発
に一番驚いたのは、他ならぬスプリームスのメンバーだったのかもしれません。それもそ
のはず、《ホェア・ディド・アワー・ラヴ・ゴー》は彼女達の9枚目のシングルでした。
”ノン・ヒット・スプリームス”と言われていたという話もあるとおり、それまでの彼女
たちのシングルは、一部を除いてことごとくチャートで失敗していたからです。

スプリームスが、地元デトロイトにあったレコード制作会社のモータウンと契約したのは
1961年。それ以降、モータウンの経営者で作曲も手がけていたベリー・ゴーディ・Jrを
はじめ、彼女達がモータウンのオーディションを受けられるように手配したスモーキー・
ロビンソン、スティーヴィー・ワンダーの育ての親ともいえるクラレンス・ポールなど、
様々なプロダクション・チームの手を借りてシングルを制作します。しかし、ことごとく
当りませんでした。この時期の曲にはロビンソンの《ア・ブレステイキング・ガイ》など
魅力的な曲もあるのですが、プロダクションが粗雑だったり、ボ・ディドリー・ビートを
使った《ホェン・ザ・ラヴライト・スターツ・シャイニング・スルー・ヒズ・アイズ(邦
題:恋のキラキラ星)》や、明らかにクリスタルズの《ダ・ドゥ・ロン・ロン》を下敷き
にした《ラン・ラン・ラン》など、オリジナルな魅力に乏しいのです。

しかし《ホェン・ザ・ラヴライト・スターツ・シャイニング・スルー・ヒズ・アイズ》が
R&Bチャートで上位の成績を収めたことから、ゴーディ社長は「このプロダクション・
チームでいける」と判断したのでしょう。そのチームこそ、スプリームスの魅力を花開か
せたと言えるホランド/ドジャー/ホランド。マーサ&ザ・ヴァンデラスの《ヒート・ウ
ェイヴ》や、ミラクルズの《ミッキーズ・モンキー》といった曲も手がけてきたホランド
/ドジャー/ホランドによる”どこかにありそうだけどどこにもない”ポップな楽曲こそ
が、スプリームスにピッタリだったのです。《ホェア・ディド・アワー・ラヴ・ゴー》の
魅力もそこにつきます。”どこかにありそうだけどどこにもない”、しかし親しみやすく
聴きやすいポップな魅力に溢れているのです。そしてその魅力は、モータウン(そしてア
メリカ)がブリティッシュ・インヴェイジョンに立ち向かう最高の武器となったのです。

《 Where Did Our Love Go 》( The Supremes )
cover

The Supremes are
Diana Ross(lead-vo), Florence Ballard(vo), Mary Wilson(vo) 

Written  by Brian Holland, Lamont Dozier & Eddie Holland
Produced by Brian Holland & Lamont Dozier
Recorded  : Apil  8, 1964
Released  : June 17, 1964
Charts    : POP#1
Label     : Motown

Appears on :Where Did Our Love Go? (40th Anniversary Edition) 
Disk1:
Mono Version
1.Where Did Our Love Go, 2.Run, Run, Run, 3.Baby Love,  
4.When The Lovelight Starts Shining Through His Eyes, 5.Come See About Me,
6.Long Gone Lover, 7.I'm Giving You Your Freedom, 8.A Breathtaking Guy,
9.He Means The World To Me, 10.Standing At The Crossroads Of Love,  
11.Your Kiss Of Fire, 12.Ask Any Girl,  
Streo Version
13.Where Did Our Love Go, 14.Run, Run, Run, 15.Baby Love,  
16.When The Lovelight Starts Shining Through His Eyes, 17.Come See About Me,
18.Long Gone Lover, 19.I'm Giving You Your Freedom, 20.A Breathtaking Guy,  
21.He Means The World To Me, 22.Standing At The Crossroads Of Love,  
23.Your Kiss Of Fire, 24.Ask Any Girl  
Disk:2
+ Bonus Tracks
1.This Is It, 2.I'm The Exception To The Rule,  
3.Everyday I'll Love You More Than Yesterday, 4.Beginning To Ending, 5.Mr.Blues,  
6.Come On Boy, 7.Bye Baby, 8.My Imagination, 9.I Idolize You  
10.You're Gonna Come To Me (version 3), 11.Honey Babe, 12.Penny Pincher,  
13.Let Me Hear You Say (I Love You) , 14.Don't Take It Away, 15.Just Call Me,  
16.That's A Funny Way, 17.Stop, Look & Listen, 18.Send Me No Flowers,  
19.Baby Love alternate (early version), 
+ "Live Live Live" 
20.Introduction/Devil's Den,  
21.When The Lovelight Starts Shining Through His Eyes,
22.A Breath Taking Guy, 23.Your Heart Belongs To Me, 24.Let Me Go The Right Way,  
25.I Am Woman, 26.People, 27.Where Did Our Love Go  

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