●ロックへの旅(第三章):ア・ハード・デイズ・ナイト
    (ザ・ビートルズ:1964)

”ジャァァーン”という印象的なオープニングで始まるのが、ビートルズの7枚目のシン
グル《ア・ハード・デイズ・ナイト》です。もちろん、イギリスでもアメリカでもチャー
トではNo.1の座に輝いています。ぼくが《ア・ハード・デイズ・ナイト》をはじめて聴い
たのは、ビートルズが解散した数年後の70年代半ばのことでした。ビートルズのベスト
盤として当時発売されていた赤盤で聴いたのです。当時はCDの時代ではなくレコードで
したが、2枚組みのB面のトップに収録されていたこの曲には一発でやられました。なに
しろ、あのオープニングです。「どこの誰が、この”ジャァァーン”というオープニング
を思いつくのだろう」と思ったものです。ある意味、”ジャジャジャジャーン”で有名な
ベートーベンの交響曲《運命》よりも、音楽的に凄いのではないかと思いました。今でも
、ビートルズの非凡な才能が垣間見えているオープニングだという思いは変わりません。

このオープニングを飾る”ジャァァーン”というコードは、いままで様々な憶測を生んで
きたことでも有名です。ビートルズが好きな人は自分でギターを弾く人も多いと思われま
すが、この”ジャァァーン”はコードが不明でコピーできないからです。ぼくがはじめて
《ア・ハード・デイズ・ナイト》を聴いたころのビートルズ本には、Gsus4(ジー・サウ
スフォー)というコードと書かれていました。しかし自分でギターでGsus4を弾いてみる
と、なにか響きが違うと感じたものです。ぼくがやった方法で一番近かったのは、ギター
の6弦を1音さげてDの音にして、4弦3フレット(薬指)、3弦2フレット(中指)、
2弦1フレット(人さし指)、1弦は3フレット(小指)(5弦は薬指でミュートして弾
かない)というものでした。しかし、実際にはビートルズはすぐに演奏に入っているので
、6弦を1音さげたままなんて無理だと思っていました。

結論を言えば、オープニングにはギターだけではなく、ピアノとベースの音(Dの音)が
入っています。ピアノは本当に入っているか疑問もありますが、ベース音は注意深く聴け
ばわかります。ぼくが6弦を1音さげてDにしたのは、無意識にベース音を聴きとってい
たからでしょう。オープニングのコードの情報は、ネットで検索すればいろいろと載って
います。確かに聴けば聴くほど不思議なコードなので、みなが解明したくなるのも無理は
ありません。しかし、《ア・ハード・デイズ・ナイト》の最大の魅力はオープニングでは
ありません。やはり、ヴォーカルをとるジョンとポールのカッコよさ。これにつきます。
とくに、2回目のポールのヴォーカルの最後に被さって入ってくるジョンの「オーゥ」と
いう声の艶っぽいこと。こここそが、《ア・ハード・デイズ・ナイト》の最大の魅力なの
です。オープニングを追求している人も、たまには原点に戻りましょうね。

《 A Hard Day's Night 》( The Beatles )
cover

The Beatles are
John Lennon(vo,g), Paul McCartney(vo,elb), George Harrison(12strings-elg), 
Ringo Starr(ds,per)
+ George Martin(p)

Written  by: John Lennon & Paul McCartney
Produced by: George Martin
Recorded   : 16 Apil, 1964
Released   : July 10, 1964(UK)
             July 13, 1964(US)
Charts     : POP#1
Label      : Capitol(US)

Appears on :A Hard Day's Night
1.A Hard Day's Night, 2.I Should Have Known Better, 3.If I Fell,  
4.I'm Happy Just To Dance With You, 5.And I Love Her, 6.Tell Me Why,  
7.Can't Buy Me Love, 8.Any Time At All, 9.I'll Cry Instead, 
10.Things We Said Today, 11.When I Get Home, 12.You Can't Do That, 13.I'll Be Back
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