●ロックへの旅(第二章):アイ・ウィル・フォロー・ヒム
    (リトル・ペギー・マーチ:1963)

リトル・ペギー・マーチの《アイ・ウィル・フォロー・ヒム》は、シフォンズの《ヒーズ
・ソー・ファイン》に続く1963年4月の全米No.1ヒット曲です。歌っているペギー・マー
チは、この曲をレコーディングした時点ではまだ14歳。ヒットした1963年4月に、15歳に
なったばかりでした。したがって《アイ・ウィル・フォロー・ヒム》は、名前のあたまに
”リトル”がついたリトル・ペギー・マーチ名義でのヒット曲です。もともとは、《シャ
リオ(邦題:愛のシャリオ)》という曲らしく、《ダウンタウン》のヒットで有名なイギ
リスの女性歌手のペトラ・クラークがフランスでヒットさせた曲なのだそうです。言われ
てみれば、60年代に花開くフレンチ・ポップスの香りがしなくもありません。その曲を、
ポップスに転向した後のサム・クックのプロデュースなどで有名なヒューゴ&ルイジが、
マーチ用に英語でリメイクしたのが《アイ・ウィル・フォロー・ヒム》という曲です。

ロックへの旅を続けるなかで、この曲のことはすっかり忘れていました。あくまでも僕個
人のイメージのなかでの話しですが、マーチの名前が女性歌手のペギー・リーに、この曲
のタイトルがビートルズの《アイル・フォロー・ザ・サン》になんとなく似ているためか
、《アイ・ウィル・フォロー・ヒム》という曲もしっとっりとした曲なのだという勝手な
思い込みがありました。「聴くまでもないだろう」とうっかり通り過ぎるところでした。
しかしロックへの旅のなかで1963年当時のヒット曲を聴いていくうちに、《アイ・ウィル
・フォロー・ヒム》を幼い頃に確かに聴いた記憶があるのを思い出したのです。この曲は
自分のなかで避けてとおるわけにはいかない。それを思い出させてくれたのが、ヒューゴ
&ルイジがマーチを使ってロックン・ロール好きのアメリカのティーン・エイジャーに向
けて放った冒頭の元気の良いコーラスです。

おそらくロック・ポップス・イントロ大賞というものがあったならば、コーラス部門では
1、2を争うのではないでしょうか。ドゥ・ワップのベース・パートのような、「ドゥデ
デッ、ドゥデデッ、ドゥデデッ、ドゥデデデデ」という男性コーラスだけでもインパクト
は大きいのですが、そこに被さってくる「アラヒッ、アラヒッ(I Love Him)」というコ
ーラスのような歌は、僕にとって相当に大きな衝撃でした。あらためて《アイ・ウィル・
フォロー・ヒム》を聴き返して、「あー、子供のころに聴いた耳に残っているコーラスは
この曲だったんだ」と思い返したのでした。ベース・ラインと同じメロディ・ラインを、
いきなりイントロで元気一杯に歌わせるというのは、思いつきそうでなかなか思いつかな
いアイディアです。《アイ・ウィル・フォロー・ヒム》の魅力は、一度聴いたら忘れられ
ないイントロ・コーラスのような歌の部分につきるといって良いでしょう。

《 I Will Follow Him 》( Little Peggy March )
cover

Little Peggy March(vo)


Written  by Arthur Altman, Norman Gimbel, Jacques Plante, Del Roma & J.W.Stole
Produced by Hugo Peretti& Luigi Creatore
Recorded  : January, 1963
Released  : January 22, 1963
Charts    : POP#1(US)
Label     : RCA

Appears on :I Will Follow Him 
1.I Will Follow Him, 2.Dream World, 3.Johnny Cool,
4.Oh-Oh, I'm Falling in Love Again, 5.Wind-Up Doll, 6.You Make Me Laugh,
7.I Wish I Were a Princess, 8.My Teenage Castle [Is Tumblin' Down],
9.I'll Never Forget Last Night, 10.As Young as We Are, 11.John, John,
12.Teasin', 13.Hello Heartache, Goodbye Love, 14.Boy Crazy,
15.Impossible Happened, 16.Little Me, 17.Pagan Love Song,
18.(I'm Watching) Every Little Move You Make
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