●ジャズ・ファンのためのキング・クリムゾン入門

えー、みなさん、こんにちは。蛇目太郎と申します。西新宿方面でCDショップやってま
す。最近は、お店でジャズ・フュージョン系よくかけてます。マイルスをはじめ、ジャズ
・フュージョン系もいっぱい置いてますので、お店にもぜひお立ち寄りください。えー、
それでは今日はみなさまにロックの名盤を聴いていただくということで、ええ、そうです
、ロックにも名盤ってあるんですねー。それで何を聴いていただこうか考えたのですが、
ジャズをお聴きのみなさまには、意外とジャズの影響が大きいやつを聴いていただくのが
良いだろうということで、本日はキング・クリムゾンというバンドのデビュー・アルバム
『イン・ザ・コート・オブ・ザ・クリムゾン・キング』を聴いていただこうと思います。
このアルバム、原題も長ったらしいですが、邦題も『クリムゾン・キングの宮殿』と長い
んですねえ。えーっと、それでは、まずジャケットを見ていただきましょう。

みなさんの好きなジャズの世界では、「ジャズはジャケットで買え!」という格言がある
と聞きますが、この『クリムゾン・キングの宮殿』のジャケットはどうでしょう。まるで
、ムンクの”叫び”の主人公が現代の欧米人になったみたいですね。欧米かっ!。あれ、
ハズしちゃいましたね。この人物、眼から上の部分は描かれてないんですが、このジャケ
ットを見ていると、想像しちゃいませんか。えっ、何を想像するのかって?、その、つま
り、この人物の頭部がどーなっているかということですね。ぶっちゃけ、ハゲてるのでは
ないかと。プフッ。あれ、受けを狙ったのですが、またまたハズしちゃいましたね。でも
、笑えるのはこれだけではないんですよ。ジャケットを拡げると、ほらっ、ジャケットの
人物の頬肉が幾重にも連なっているんですね。モスラの幼虫みたいでしょ。これもまたハ
ズしちゃいましたねー。えー、ハズしまくりですがそろそろ本題にいきましょう。

まー、ジャズにも、ビ・バップ、ハード・バップ、フリー・ジャズなどいろいろなスタイ
ルがあると聞いておりますが、ロックにもいろいろなスタイルがあるんですね。例えば、
ヘヴィー・メタルとかパンク・ロックなどと言われるのがそーですね。今回みなさんに紹
介するキング・クリムゾンというグループは、プログレッシヴ・ロックというスタイルで
呼ばれることが多いです。ああ、そうですか。ジャズにもプログレッシヴ・ジャズってあ
りますか。ロックでいうところのプログレッシヴ・ロックの特徴は、多くのロック・バン
ドの主役がエレキ・ギターであるのに対して、キーボードなどの鍵盤楽器が主体となって
いるところですね。それもピアノではなく、古くはオルガンやメロトロンという現代でい
うとサンプリング・マシンのようなキーボード、そしてより電子的なシンセサイザーが大
きくフィーチャーされることが多いというのが大きな特徴なんですねー。

キング・クリムゾンは、このプログレと呼ばれるスタイルの代表的なバンドの一つなんで
すねー。ジャズでも、ほら、ジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラとか
、アル・ディメオラがいたころのリターン・トゥ・フォーエヴァーなんかは、プログレ・
ファンにも人気があったんですよねー。でも、今日ご紹介するキング・クリムゾンのデビ
ュー・アルバムをお聴きいただくと、おそらくマハヴィシュヌ・オーケストラやリターン
・トゥ・フォーエヴァーよりもジャズに近いと感じるのではないかと思いますよ。彼らは
イギリスのバンドですが、イギリスというところは、ローリング・ストーンズのドラマー
のチャーリー・ワッツ、エリック・クラプトンのいたクリームのジャック・ブルースなど
、意外とジャズ出身のロック・ミュージシャンが多い地域なんですね。そんなことも関係
しているのかもしれません。

では、聴いてみましょう。1曲目の《21世紀のスキッツォイド・マン》はどーでしょう。
一部ではヘヴィー・メタルの古典と言われる曲ですが、中間部の展開、どっかで聴いたこ
とありませんか。そーです、チャールズ・ミンガスみたいでしょ。サックスとギターの演
奏するリフはミンガスそのままですね。ヘビメタの古典の元がミンガスの音楽だとすると
、ミンガスがヘビメタの元祖ということになりますね。あと4曲目《ムーンチャイルド》
のヴォーカルが終わってからギターとヴァイヴになるところを聴いてください。どーです
、まるでECMの世界でしょ。どっかからチック・コリアのピアノが入ってきて《ラ・フ
ィエスタ》に突入しそうな感じしませんか。このアルバムの音楽のもう一つの重要な要素
、ブリティッシュ・トラッドもジャズと大きく関わりのある音楽ですので、このロックの
古典は意外とジャズの影響が大きいんですねー。あ、もー時間ですね。では、また。

『 In The Court Of The Crimson King 』( King Crimson )
cover



1.21st Century Schizoid Man, 2.I Talk To The Wind, 3.Epitaph,
4.Moonchild, 5.The Court of the Crimson King,

King Crimson are
Robert Fripp(g), Ian McDonald(reeds, woodwinds, vibes, keybord, mellotron, vo),
Greg Lake(elb,g,vo), Michael Giles(ds, per, vo), Peter Sinfield(words)

Released  : October 10, 1969
Produced  : King Crimson
Label     : EG
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