●ロックへの旅(第二章):ウォーク・ライク・ア・マン
    (ザ・フォー・シーズンズ:1963)

さて今回は、1963年3月の全米No.1ヒット《ウォーク・ライク・ア・マン(邦題:恋のハ
リキリボーイ)》という曲です。歌とパフォーマンスは、三度目の登場となるフォー・シ
ーズンズ(それにしても”恋のハリキリボーイ”というのは凄い邦題ですね)。《シェリ
ー》、《ビッグ・ガールズ・ドント・クライ》に続く、彼らの実質的な3作目(クリスマ
ス・シングルの《サンタが街にやってくる》を除く)となるシングル曲です。この3作の
シングルは、全て全米No.1を獲得しています。「1作目があたると2作目は勢いでいける
、本当に実力が試されるのは3作目」というのはある日本人シンガーの言葉ですが、まさ
に《ウォーク・ライク・ア・マン》によって、フォー・シーズンズは本物だという認識が
広まったのではないでしょうか。ブリル・ビルディング系のソングライター達にとって、
自分で曲を作り演奏して歌うフォー・シーズンズは脅威に映ったような気がします。

曲は前作の《ビッグ・ガールズ・ドント・クライ》のオープニング同様にドラムのロール
(演奏はモンキーズの《アイム・ア・ビリーバー》などで演奏しているスタジオ・ミュー
ジシャンのバディ・サルツマン)で始ります。すぐにダンッダ、ダンッダという前2作と
は異なる重くファンキーなビートに載せて、彼らのトレード・マークともいえるフランキ
ー・ヴァリのファルセットによるイントロになります。しかし歌に入るとこのトレード・
マークをあえて抑えて、ヴォーカルがファンキーになるのです。これが実に素場らしい。
初期の彼らの音楽がラジオから流れてくると黒人グループと思われたという伝説が、よく
理解できるファンキーさです。そしてサビになると、再びファルセットに戻るとともに、
あっと驚くような見事な転調。その後ろで鳴っている階段を昇るようなベース・ライン。
実に見事な構成です(アレンジャーのチャールズ・カレロの仕事か?)。

《シェリー》から続く3作のシングルの中では、《ウォーク・ライク・ア・マン》がベス
トだとぼくは思います。当時の彼らの勢いを真空パックにしたような、見事な曲だと思っ
ています。日本のバンドだと、3作目のシングルというとバラードあたりの変化球で別の
一面を見せるところでしょうが、プロの作家として見事な構成の直球勝負の曲なのです。
演劇界のアカデミー賞といえるトニー賞受賞のミュージカル「ジャージー・ボーイズ」(
フォー・シーズンズがモデルになっている)が海外で話題になっているようですが、第一
幕の中で《シェリー》から《ウォーク・ライク・ア・マン》は連続で歌われるようです。
初期フォー・シーズンズの勢いと船出を表す場面なのではないかと、勝手に想像していま
す。そのような場面には、当時の彼らの勢いと、プロとしての潜在的な未知のパワーが同
居する《ウォーク・ライク・ア・マン》が、最もピッタリとくると思っているからです。

《 Walk Like a Man 》( The 4 Seasons )
cover

The 4 Seasons : 
Frankie Valli(vo), Bob Gaudio(key,vo), Tommy DeVito(elg,vo), Nick Massi(elb,vo)

Buddy Salzman(ds)
Arranged by Charles Calello

Written  by Bob Crewe/Bob Gaudio
Produced by Bob Crewe
Recorded  : 1962
Released  : January 26,1963
Charts    : POP#1,R&B#3(US)
Label     : Vee-Jay

Appears on :In Season : The Frankie Valli and the 4 Seasons Anthology

1.Sherry, 2.Big Girls Don't Cry, 3.Connie-O, 4.Peanuts,
5.Alone (Why Must I Be Alone), 6.Walk Like a Man, 7.Ain't That a Shame,
8.Candy Girl, 9.Marlena, 10.Stay, 11.Little Boy (In Grown Up Clothes),
12.Dawn (Go Away), 13.Silence Is Golden, 14.Ronnie, 15.Rag Doll, 
16.Save It for Me, 17.Big Man in Town, 18.Bye, Bye, Baby (Baby Goodbye),
19.Betrayed, 20.Toy Soldier, 21.Girl Come Running, 
22.Let's Hang On (To What We've Got) , 23.Don't Think Twice, It's All Right,
24.The Sun Ain't Gonna Shine (Anymore), 25.(You're Gonna) Hurt Yourself,
26.Working My Way Back to You, 27.You're Ready Now,
28.Opus 17 (Don't You Worry 'Bout Me), 29.I've Got You Under My Skin

1.Can't Take My Eyes off You, 2.C'mon Marianne, 3.Proud One, 
4.Tell It to the Rain, 5.Beggin', 6.Lonesome Rad, 7.I Make a Fool of Myself,
8.Watch the Flowers Grow, 9.To Give (The Reason I Life), 
10.Will You Love Me Tomorrow, 11.Idaho,
12.The Girl I'll Never Know (Angels Never Fly This Low),
13.And That Reminds Me (My Heart Reminds Me), 14.Patch Of Blue,
15.My Eyes Adored You, 16.Swearin' To God, 17.Who Loves You,
18.Our Day Will Come, 19.December, 1963 (Oh, What A Night), 20.Silver Star,
21.Fallen Angel, 22.Grease


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