●ロックへの旅(第二章):ザ・ナイト・ハズ・ア・サウザンド・アイズ
    (ボビー・ヴィー:1963)

昔の洋楽のヒット曲のことをさして、オールディーズという言葉がよく使われます。古い
けれども良い曲という意味で、英語ではオールディーズ(バット・グッディーズ)と言い
ます。さて、ここで問題です。いったい何を基準にオールディーズというのでしょうか。
例えば、ビートルズの《抱きしめたい》も、ローリング・ストーンズの《サティスファク
ション》も40年以上も前の曲です。現在からみれば、十分に古い曲でしょう。しかし、他
の国ではわかりませんが、これらの曲のことをオールディーズと呼ぶ感覚はないと思いま
す。単に古い曲というだけでは、オールディーズという言葉は適切ではないようです。そ
れではビートルズ登場以前の曲を仮にオールディーズと呼ぶとしたらどうでしょう。これ
も一概にはいえません。ビートルズ以後でも、《ヘイ・ポーラ》のようにオールディズ曲
集の定番のような曲も存在します。いったい何がオールディーズの基準なのでしょう。

ボビー・ヴィーの《ザ・ナイト・ハズ・ア・サウザンド・アイズ(邦題:燃ゆる瞳》も、
オールディーズ・ナンバーと呼ばれることが多いようです。ヒットしたのは1963年なので
、ビートルズのデビュー後になります(ただし彼らの人気は、アメリカでは未だ火がつい
ていません)。ぼくがこの曲を初めて聴いたのは、カーペンターズの名盤『ナウ・アンド
・ゼン』のB面のメドレーでした。ビーチ・ボーイズの《ファン・ファン・ファン》、ス
キーター・ディヴィスの《エンド・オブ・ザ・ワールド》、クリスタルズの《ダ・ドゥ・
ロン・ロン》、ジャン&ディーンの《デッド・マンズ・カーヴ》、シェリー・フェブレー
の《ジョニー・エンジェル》ときて、兄のリチャードがリードをとる《ザ・ナイト・ハズ
・ア・サウザンド・アイズ》がきます。このメドレーもよくオールディーズ・メドレーと
言われるのですが、そう言われるとどうも気分的にしっくりとこないのです。

結論を言ってしまえば、今日でも十分に新しさを感じさせる魅力を持っている曲は、オー
ルディーズという言葉が似合わないのだという気がします。その意味で、《ザ・ナイト・
ハズ・ア・サウザンド・アイズ》にはオールディーズという言葉は似合いません。ロック
っぽいコード進行のイントロ、スキップするようなリズム、ポップなメロディ、それを支
えるゴージャスなビッグ・バンド&ストリングスのサウンドと、現在でも全く色褪せない
ポップな魅力にあふれています。とりわけ大迫力で曲をグルーヴさせているドラムスと、
「リメンバー」で始まるサビの3連音符の部分は魅力的です。フィル・スペクター、そし
てブライアン・ウィルソンへと引き継がれていくポップなメロディとビッグ・バンド・サ
ウンドの先駆であり、ポップな魅力に満ち溢れた《ザ・ナイト・ハズ・ア・サウザンド・
アイズ》は、ぼくの中では決してオールディーズではないのです。

《 The Night Has A Thousand Eyes 》( Bobby Vee )
cover

Bobby Vee(vo)

Written  by: Marilyn Garrett, Dorothy Wayne and Benjamin Weisman
Produced by: Tommy "Snuff" Garrett
Charts     : POP#3
Label      : Liberty

Appears on :the very best of Bobby Vee
1.Rubber Ball, 2.More Than I Can Say, 3.How Many Tears,
4.Take Good Care Of My Baby, 5.It Doesn't Matter Anymore,
6.True Love Ways, 7.Run To Him,
8.Please Don't Ask About Barbara, 9.Walkin' With My Angel,
10.Punish Her, 11.That'll Be The Day, 12.Peggy Sue,
13.Oh Boy, 14.Heartbeat, 15.Sharing You,
16.Forever Kind Of Love, 17.Raining In My Heart,
18.Everyday, 19.Bobby Tomorrow, 20.The Night Has A Thousand Eyes


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