●ロックへの旅(第二章):ラヴ・ミー・ドゥ
    (ザ・ビートルズ:1962)

2年前から本エッセイの中で書いてきた「ロックへの旅」ですが、ここになってふと考え
込んでしまいました。書きたいと思う曲がたくさんあるのに、なかなか書くことができな
いのはなぜなんだろう?。なかなか、ビートルズまで辿り着かないなぁ。なーんだ「ロッ
クへの旅」は月に1回だから、1年間で書くことができることは12曲。これでは、ビート
ルズにはなかなか辿り着きません。なるほど、なるほど、と感心している場合ではないの
です。これではロック黄金時代の60年代の曲について、いつになったら書くことができる
のやら。早く聴きたいな、書きたいな。そのような思いが、少し前からふつふつと湧き上
がってきていたのです。ということで、2007年というきりの良さを良いことに、はしょっ
て今回から60年代を始めることにしてしまいました。月に1回の「ロックへの旅」を2回
にし、月末はいままでの続き(まだ1956年)、そして月初は60年代というサイクルです。

では、60年代の一発目は何にするか。どこからスタートするのか。これはもう心の中で決
めていました。60年代、いやポピュラー音楽全ての中で、世界中に最も大きな影響を与え
たグループ、ザ・ビートルズのデビューからにしようと決めていました。彼らがデビュー
したのは、1962年の10月です。余談ながら、ぼくが生まれたのも1962年の10月なのです。
単なる偶然ではありますが、自分が育ってきた時代を彩った曲をもっと多く知りたいとい
うおおいに個人的な興味もあり、ここをスタートにしたいと思います。ということで、ビ
ートルズのデビュー・シングルの《ラヴ・ミー・ドゥ》ですが、この曲みなさんはどう思
っているのでしょうか。ビートルズのアルバム未収録曲をコンパイルした『パスト・マス
ターズ・ヴォリューム・1』や、ベスト盤の”赤盤”や『ビートルズ1』で最初に耳に飛
び込んでくるのがこの曲です。

ビートルズ伝説はいろいろと不思議が多いですが、その一つが、なぜ彼らがこの曲を最初
のシングルに選んだのかということです。曲や歌詞は単調、はっきり言っていいとこなし
の曲です。当時のリーダーはジョンだったのに、ポールがメインの曲を選んでいる点も不
思議です。「アンソロジー」などの彼らの発言を読むと、リバプールのみんなに気に入っ
てもらえると思って《ラヴ・ミー・ドゥ》にしたと言っていますが本当でしょうか。だと
すると、ビートルズが《ラヴ・ミー・ドゥ》で最も聴いてもらいたかったのはなんなので
しょうか。彼らの言葉を信じるならば、おそらくジョンのハーモニカ・プレイでしょう。
イントロ、間奏と全面的にフィーチャーされています。つまり《ラヴ・ミー・ドゥ》は、
ポールのヴォーカルというよりもジョンのブルージーなハーモニカ・プレイを聴かす曲だ
ったのでしょう。しかし残念ですが、そう思って聴いてもこの曲はダサイと思います。

《 Love Me Do 》( The Beatles )
cover

The Beatles : 
John Lennon(vo,g,harp), Paul McCartney(elb), George Harrison(g), Ringo Starr(ds)

Written  by: John Lennon / PAUL McCARTNEY
Produced by: George Martin
Recorded   : September 4,1962
Released   : October 5,1962
Charts     : POP#1(US)
Label      : Parlophone

Appears on :Past Masters Vol.1
1.Love Me Do, 2.From Me to You, 3.Thank You Girl, 4.She Loves You, 
5.I'll Get You, 6.I Want to Hold Your Hand, 7.This Boy,
8.Komm, Gib Mir Deine Hand, 9.Sie Liebt Dich, 
10.Long Tall Sally, 11.I Call Your Name, 12.Slow Down, 13.Matchbox, 
14.I Feel Fine, 15.She's a Woman, 16.Bad Boy, 17.Yes It Is, 18.I'm Down  


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