2年前から本エッセイの中で書いてきた「ロックへの旅」ですが、ここになってふと考え 込んでしまいました。書きたいと思う曲がたくさんあるのに、なかなか書くことができな いのはなぜなんだろう?。なかなか、ビートルズまで辿り着かないなぁ。なーんだ「ロッ クへの旅」は月に1回だから、1年間で書くことができることは12曲。これでは、ビート ルズにはなかなか辿り着きません。なるほど、なるほど、と感心している場合ではないの です。これではロック黄金時代の60年代の曲について、いつになったら書くことができる のやら。早く聴きたいな、書きたいな。そのような思いが、少し前からふつふつと湧き上 がってきていたのです。ということで、2007年というきりの良さを良いことに、はしょっ て今回から60年代を始めることにしてしまいました。月に1回の「ロックへの旅」を2回 にし、月末はいままでの続き(まだ1956年)、そして月初は60年代というサイクルです。 では、60年代の一発目は何にするか。どこからスタートするのか。これはもう心の中で決 めていました。60年代、いやポピュラー音楽全ての中で、世界中に最も大きな影響を与え たグループ、ザ・ビートルズのデビューからにしようと決めていました。彼らがデビュー したのは、1962年の10月です。余談ながら、ぼくが生まれたのも1962年の10月なのです。 単なる偶然ではありますが、自分が育ってきた時代を彩った曲をもっと多く知りたいとい うおおいに個人的な興味もあり、ここをスタートにしたいと思います。ということで、ビ ートルズのデビュー・シングルの《ラヴ・ミー・ドゥ》ですが、この曲みなさんはどう思 っているのでしょうか。ビートルズのアルバム未収録曲をコンパイルした『パスト・マス ターズ・ヴォリューム・1』や、ベスト盤の”赤盤”や『ビートルズ1』で最初に耳に飛 び込んでくるのがこの曲です。 ビートルズ伝説はいろいろと不思議が多いですが、その一つが、なぜ彼らがこの曲を最初 のシングルに選んだのかということです。曲や歌詞は単調、はっきり言っていいとこなし の曲です。当時のリーダーはジョンだったのに、ポールがメインの曲を選んでいる点も不 思議です。「アンソロジー」などの彼らの発言を読むと、リバプールのみんなに気に入っ てもらえると思って《ラヴ・ミー・ドゥ》にしたと言っていますが本当でしょうか。だと すると、ビートルズが《ラヴ・ミー・ドゥ》で最も聴いてもらいたかったのはなんなので しょうか。彼らの言葉を信じるならば、おそらくジョンのハーモニカ・プレイでしょう。 イントロ、間奏と全面的にフィーチャーされています。つまり《ラヴ・ミー・ドゥ》は、 ポールのヴォーカルというよりもジョンのブルージーなハーモニカ・プレイを聴かす曲だ ったのでしょう。しかし残念ですが、そう思って聴いてもこの曲はダサイと思います。