●ブートレッグでエレクトリック・マイルス

皆さん、お元気ですか。いやぁ、寒くなってきましたね。なんでも今年は殆ど秋がなく、
いきなり冬型のお天気になったそうです。関東では木枯らしも既に吹いたそうで、私の好
きな秋を感じる期間が短かったのは、少し残念でした。

しかし、心は熱く燃えています。なぜなら、マイルス・デイヴィスのブートレッグを
4枚も買ってしまったからです。ブートレッグというのは、まあ正規のレコード会社から
出ていないレコードやCDのことです。正規のレコード会社から出ていないので、買える
場所というのも限定されています。私はインターネット通販で2枚、ブートレッグを売っ
ているお店で2枚購入しました。しめて2万円弱です。いづれも70年代の俗に言うエレ
クトリック・マイルスのもので、グチャグチャ、ギョワンギョワン、ギュイーンの世界で
す。有意義なお金の使い方です。ふところは淋しくなるが、ハートはどこまでも燃える。
そう、私はこのころのマイルスの音楽に高校生の頃からメロメロなのです。購入した時期
のマイルスの主要なメンバーは、スティービー・ワンダーなどモータウン系のレコードで
ベースを弾いていたマイケル・ヘンダーソン、マドンナのファーストやロバータ・フラッ
クなどへの曲提供で知られるギターのレジー・ルーカスとパーカッションのエムトゥーメ
、顔の長いドラムのアル・フォスターの4人です。そこに時期によってエレクトリック・
シタールやタブラなんかのインド系の楽器や、ジミ・ヘンドリックスも生前に追っかけて
いたという凄まじいギターのピート・コージーが加わります。72年はまだインド系楽器と
キーボードがメンバーにいますが、73年になるとそれらのメンバーを除き、2ギターのフ
ァンクバンドになります。そして、75年の来日公演でそれがヘビーになり、グッチャング
ッチャンになって爆発するのです。このメンバーがぶちかます、ロック、ジャズ、ブルー
ス、現代音楽を包括したファンクにのせて、マイルスがワウワウをかけたエレクトリック
・トランペットで熱く鋭いブローで切り込んでいくのです。そして予想もしない演奏の展
開とハプニング!。他に、このようなコーフンを与えてくれる音楽を私は知りません。

購入したCDのタイトルを書いておきましょう。

・『Right Off - Complete Live At Paul's Mall 1972』
  狂乱の『On The Corner』録音後の、インド系バンドのライブ
・『Unreachable Station』
  73年の東京でのライブ
  サックスのデイブ・リーブマンとマイルスの掛け合いが聴きもの
・『Another Unity』
  75年の東京でのライブ
  正規に出ている大阪のライブ『アガルタ』、『パンゲア』を越えている!
・『Unknown Sessions Vol.1』
  珍しいスタジオ・アウトテイク
  シングル発売を狙ったのではと思われる、《Untitled Latin》のメロディアスな展開
    が聴きもの

上記の一部は、ここで入手可能です(サンプル音源も聴けます)。

普通はブートレッグというのは、正規盤を聴き込んでから手を出したほうがいいのですが
、上記の、特に上から3枚は同時期の正規盤に匹敵する演奏です。演奏の凄まじさという
意味では、正規盤以上ともいえます。だからいきなり聴いても大丈夫なのです。

マイルスの音楽が好きなのは、とにかくカッコイイからです。カッコイイ音楽を死ぬまで
貫いたのが、マイルス・デイヴィスという人なのです。エレキギターをアンプに通して、
デカイ音で歪ませてギョエーンの弾いた時の気持ちよさみたいなものが、この70年代前半
のマイルスの音楽にはあります。ロックばかり日頃聴いている人にも、ぜひ聴いて欲しい
です。断言しますが、バンドやっている人でこれ聴いてもコーフンしない人は、グルーヴ
を感じる感性が無いと思われるので止めたほうが良いかもしれませんよ。まあ半分冗談、
半分(殆ど!)本気ですが、それぐらい凄いと本気で思っています。マイルスは、11月20
日には待望のモントルーBOXも出ます(CD20枚組み!!)。ボブ・ディランのブー
トレッグ・シリーズ(これは正規盤)の新しいやつも出るし(なんとローリング・サンダ
ー・レビューのライブで『ハード・レイン』の立場はどうなる・・?)、なにかとフトコ
ロが大変な11月なのでした。

では、また。