●コンピレーション盤の功罪

いつのまにか8月も終わりに近づいてきましたが、皆さんお元気でお過ごしですか。しか
し、今年の夏は暑かったですねー。なんでも今年の夏は、「ダイポールモード現象」とい
うのがあったそうです。この「ダイポールモード現象」はエル・ニーニョ現象のインド洋
版といえるもので、1999年に発見されたそうです。この「ダイポールモード現象」が
発生すると、インドネシア付近が旱魃に見まわれ、インドやアフリカ大陸東岸では大雨と
なる傾向があるそうです。そして日本付近では太平洋高気圧が強まり、猛暑をもたらす傾
向があることが指摘されています。それに加えて、今年は太平洋高気圧が通常より北に偏
っており、高気圧の軸が日本の真上に位置したことも、暑さが厳しくなった原因なんだそ
うです。こうなると、北からの寒気もはいりにくく、暑さが長続きするんだそうです。ど
うりで暑かったわけですよねー。残暑も厳しくなりそうなので、皆さんも体調に気をつけ
てくださいね。

さてそんな暑さのおり、このところCDを売っているお店などに行くと、妙に気になるこ
とがあります。ヒット曲などを集めたコンピレーション(オムニバス)盤が、一番目立つ
棚に数種類陳列されていることです。洋楽ヒット曲に限らず、ジャズ、ボサノバ、ヒーリ
ング・ミュージックなど、どのジャンルでも真っ盛りなのです。おまけにこれが、ある程
度売れているらしいのです。今週の洋楽アルバムチャートの上位10枚のうち、6枚がオ
ムニバス盤です。あの頃のヒット曲がレーベルを超えて一度に手に入るので、なんとなく
お買い得のような気もしますが、何か私には附に落ちないものがあるのです。そこに収め
られている音楽に共通するものは、”ある場所(あるいは時代)”というものだけです。
80年代のコンピレーションに収められているa−haの曲とジョン・レノンの曲とは、
”その時代(あたり)にヒットした曲”という曖昧な共通項でしかありません。ジャズの
場合は、ただ”ジャズである”というだけでまとめられている場合が多いので、もっと悲
惨です。例えばデイヴ・ブルーベックの《テイク・ファイブ》と、チャールス・ミンガス
の《直立猿人》と、サン・ラの《金星行きロケット9号発射》には、ジャンルがジャズだ
という以外に何の関連性もありません(そんなコンピレーションはありませんが)。その
ような関連性の曖昧な曲をならべて聞いたところで、BGM以上のものに成りうるのでし
ょうか。本当に”その曲”を聴いたことになるのでしょうか?。便利ではあるけれど、な
んだか音楽が軽く扱われているような気がするのです。選曲がレコード会社任せというの
も、附に落ちない理由の一つです。元来こういうものは、個人の趣味でドライブ用のカセ
ットテープに編集なんかしたりして作って、”80年代の曲で僕の好きな曲ばかり集めて
みたんだ”なんて助手席の彼女にさりげなく言ったりして楽しむものなのではないでしょ
うか?。そういう自分でコンピレーションを作るという楽しみも、さりげなく奪われてし
まっているのです。いっぱい曲が入っていてお買い得の分”別にいらない曲”まで買わさ
れているので、本当に得しているのかも怪しいところです。
私がコンビニエンスでお手軽なオムニバス盤を買う気がしないのは以上のような理由なの
ですが、それでもそこから興味を持つ歌手やグループが出てきて、オリジナルのアルバム
を買うようになればいいのかななどと考えたりもします。皆さんは、どうでしょうか?

では、また。