●ビーチ・ボーイズは怖いバンドだ

いつも間にか梅雨になってしまい、今日などは少し肌寒さも感じますが皆さんいかがお過
ごしですか。ということで先日CDショップをブラブラしていたら、"また出た!"ビーチ
・ボーイズの未発表音源です。こういうときに見つけたら買わずにはいられないのが、フ
ァンの悲しい性です。このCDはドキュメンタリーをそのままCDにしたような作品で、
オリジナルを聴き込んでいない人にはちょっと辛いのがたまにきずです。ビートルズのア
ンソロジー以来このてのCDが増えてますが、このような未発表テイクなんていうものは
レコーディングの段階ではザラにあるわけなので、そういったものをなんでもかんでも出
せばいいってものではないですよね。このCDにもそのようないらんテイクはいくつか入
っているのですが、ところがどっこい初めて聴く音源もいっぱい入っているので結局は感
心させられてしまいます。

聴き所はいっぱいあるのですが、ブライアンの才気ばしったスタジオワークを垣間見るこ
とのできる《ソルトレイク・シティ》のセッション・ハイライトや、《キス・ミー・ベイ
ビー》、《アッド・サム・ミュージック・トゥ・ユア・ディ》の見事なアカペラ、公式に
初めて聴く《英雄と悪漢》のステレオバージョンなどです。ただのガレージ・サーフ・バ
ンドだったビーチ・ボーイズが、とてつもない音楽を作るバンドに変貌していく様子を垣
間見ることができます。最初は単なる親しみやすいポップな曲だと思っていると、聴き込
んでいくうちにその裏にある複雑さに気づかされ、出来上がった音楽に込められた感情に
打ちのめされ、最後には”どうしてこんな音楽を作ることができたのだろう”とただただ
感心してしまうばかりです。

このCDにはそのようなビーチ・ボーイズ研究の材料や断片といったものがいっぱい入っ
ていますが、どーせ出すんならシーオブチューン(ビーチ・ボーイズのブートレッグを出
しているレーベル)のように徹底してやらんかいという感じがしないでもありません。も
しくはモノラル時代のアルバムを、全曲ステレオリマスターで出してほしいです。私がマ
スタリングを意識するようになったのも、ビーチ・ボーイズの影響が大きいのです。もっ
と、もっと細かいところまで聞かせてくれい!。なんか今回は、いつもの調子とは違う感
じになってしまいました。ファンの心理をこのようにしてしまうビーチ・ボーイズの魅力
は、その音楽と同様に一度はまったら決して抜け出せない怖い怖いものなのです。ああ、
ビーチボーイズに関しては、いくら言ってもいい足りない。いづれまた、ゆっくりと彼ら
の音楽に関して書いてみたいと思います。