●アルバムについて:その1『Soul Songs』

皆さん、こんにちは。
今年の冬は、朝晩が寒い日が多いですね。
皆さんはどんなホットな音楽を聴いていますか?

ホットな音楽といえばいろいろとありますが、ソウル・ジャズとかファンク・ジャズと
いった音楽を知ったのは、全くの偶然でした。私も過去にジャズにはまっていた時期と
いうのはあったのですが、90年代になるまでこのてのジャズは全くマスコミ等で紹介
されなかったせいか存在を知らなかったのです。しかしある日、ふとしたことからこれ
らの音楽の存在を知りました。ブルーノート・レコードという有名なジャズのレーベル
があるのですが、その関連の本の中で音楽評論家のピーター・バラカンさんがこれらの
音楽について熱く語っていたのです。ブルーノートのレコードは日本でも何度となく発
売されているのですが、僕が買っていた当時(キングの時代)はいわゆる”名盤”と呼
ばれるものばかりで、ソウル・ジャズ系はあまり発売されなかった記憶があります。本
の中でピーターさんが紹介している同レーベルのミュージシャン達の名前も、有名なジ
ミー・スミスを除いては知らない人ばかり(ジャズに関する本や雑誌を結構読んでいた
にも関わらずです)。”ここに自分の知らない音楽がある”、そして”その音楽につい
て熱く語っている人がいる”という2点の興味から、急速にこれらの音源を求めてCD
屋を彷徨うことになるのです。その中で発見したジョン・パットン、シャーリー・スコ
ット、チャールズ・カイナード、ベイビー・フェイス・ウィレットなどの素晴らしいオ
ルガニスト達。そして忘れてはいけないギタリストのグラント・グリーン。彼らの音楽
に触れることで、メインストリームとはまた違う、ストリートあるいはクラブの踊れる
ジャズがあること、そしてそれらの音楽がその後のクロスオーバー/フュージョンと呼
ばれた音楽への重要な流れであったことを確認したわけです。そして、それらの音楽か
ら得た体験をベースにしたこのアルバムを作ろうと決意しました。アルバム名は、シャ
ーリー・スコットの曲から戴いています。何十枚のアルバムを聴いた中から選曲を行っ
て、別表のような曲を選んだわけです。そしてアルバムにコンセプトを持たせるために
、特定のフォーマットのバンドでのギグを想定して曲順を決めました。その統一感を出
すために、全部の曲の楽器編成、および各楽器の定位は同じです。

具体的にいうと向かって左から、
・ハモンドオルガン
・パーカッション(コンガ中心)
・ドラムス
・ギター
・ベース
・サックス(テナー、ソプラノ)
・ヴィブラフォン
の順で並んでいるバンドが並んでいるところを想定しているわけです。
アルバムの1曲めから、このバンドのギグが始まるわけです。

この編成、ファンク・ジャズに詳しい方ならどこかで見たことありますよね。そうです
、グラント・グリーンが名盤の『ライブ・アット・ザ・ライトハウス』で率いたバンド
と同じ編成です。このバンドが繰り出すファンク・ジャズにノックアウトされてしまっ
て、どうしても自分で同じ編成でレコーディングしてみたくなってしまったというわけ
です。全部で7曲入っていますが、そのうち3曲がグラント・グリーン絡みの作品です。
他の曲も基本的には60年台後半の、ソウル・ジャズ系の曲が中心です。ギグを想定して
いるので、曲の構成と流れは重視しました。6曲目と7曲目はメドレー形式で考えてい
て、アルバムが終わる7曲目の終了と共にライブギグが終わるわけです。制作裏話です
が、本当はこのあとにアンコール用の曲を収録することを考えていました。2曲候補が
あって、そのうち1曲は実際にバッキングトラックも途中まで制作しているのですが、
”コレだ!”という感じがしなくて収録していません。ちなみにその曲は、ウェザー・
リポートのカヴァー《バードランド》でした(もう1曲、ローリング・ストーンズの《
ジャンピング・ジャック・フラッシュ》も考えていました)。皆さんだったら、どのよ
うな曲をこのあとにもってきますか?

それでは今回はこの辺で。