裏話1−保護観察

本当は、こんな話を人に話すものではないかも知れないけど
せっかくなので書いてみようと思う。


シンは保護観察を受けた事がある。
保護観察を知らない人は、 Yahoo!で検索でもして下さい。

保護観察を受けた理由は、暴走行為らしい(笑)。
「らしい」と言ったのは、シンはそんなつもりは全くなかったから。


高校2年のとき、深夜2時頃のとある場所で、とある交通違反をした。
そこで、警官にしょっぴかれてパトカーに乗せられて警察署へ連行。
そのまま警察署で、事情聴取を受けた。
ちなみに、この時点で交通違反の点数オーバーで免許取消決定。

事情聴取は、ドラマなどでやっているような取り調べ室ではなく、たんなる交通課の一室。

自分の後ろの席では、酔っぱらった25歳ぐらいのサラリーマンも事情聴取を受けている。
この男はかなり泥酔していて、何を言っているのかよく解らなかったが
警官の話を聞いていると、酔っぱらい運転で捕まったらしい。
でもその男は、「酒は1滴も飲んでね〜!!」とかなり強気で反抗していた。
こんなに解りやすい酔っぱらいはいないね(笑)。

事情聴取が一応済んだので、保護者(姉が迎えに来た)を呼ばれ帰宅。
後日、家裁(家庭裁判所)から、出頭するようにとの通知が来た。

家裁に出向くと、いきなり裁判。
裁判は第三者の傍聴者がいないと成立しない(?)らしいので
もう一人の同い年ぐらいの奴と、一緒に裁判を受ける。

結果は、免許の取消と保護観察
もう一人の奴は、みるからに将来ヤクザになりそうな風貌だったが
情状酌量の余地ありとして、処分は一切無し。免許取消処分の延期というオマケ付き。
免許取消処分の延期? そんなのあるの? 聞いたこともない。
絶対にこいつは、親が裏で根回しをしたんだろうと思った(笑)。

裁判の後、別室に呼ばれて説明を受ける。

まず免許の取り消しは、また後日警視庁から出頭命令が来るので
そこで免許取消の正式決定が行われるとのこと。

保護観察は、紹介される保護観察の先生(保護司)の所に定期的に出向き
そこで更正のための授業というか話をしていくらしい。
話によると、保護司たちは、警察OBや元学校教師が多いらしく
1つの町に必ず2・3人はいるそうだ。
例に漏れず、シンの自宅から歩いて5分の所にある保護司を紹介された。


後日、警視庁から免許取消の正式決定のための通知がきた。
当日警視庁に出頭すると、かなりでかい部屋に通された。
そこには、今日、免許の取り消しが決定される仲間(笑)達が大勢来ていた。
全部で、100人近くいたんじゃないかな?

ふと、となりに座っている人を見ると、どこかで見た顔だ。
・・・思い出した。警察に捕まったあの日、後ろで取り調べを受けていたサラリーマンだ。
あの日とは違い、すっかり元気がない(笑)。
話しかけようかと思ったが、あの泥酔ぶりでは憶えていないだろうと思ってやめた。

警視庁の人から、いろいろ説明や説教を受ける。
一通り話が終わった後、「異議がある方は、ここで挙手して下さい」と言った。
ここまできて、異議のある奴なんかいるわけないだろうと思っていたら、何人かいた。
挙手したうちの一人が、指されて立ち上がった。
「私は、仕事で車を使うトラック運転手です。車は私の命です。車を運転出来なきゃ
収入はゼロです。家族が路頭に迷います。まだ子供も小さい。何とか免除してくれないか。」
かなり悲痛な叫びだ。今にも泣き出しそうな感じ。
しかし、警視庁の人はこうかえした。
「ここに来ている人は、みんなあなたと同じ。あなたが自分でやったことでしょう。
生活が苦しいから、強盗殺人をやったけど許して欲しいと言っているのと同じ。」
その例えは違うだろう(^^;と思ったが、その人は黙って座り込んでしまった。
その他の挙手をした人も、手を下ろしてしまった。

シンは、結局1年間の免許取り消しということになった。


さて、保護観察を受ける日がやって来た。
初日は親と一緒に保護司のところに出向いた。
保護司は70歳近い老人で、元学校教師らしい。
親は菓子折を持っていったが、規則で決まっているらしく、絶対に受け取らなかった。

保護観察は、かなり規則が厳しい。
ちょっと記憶が曖昧だが・・・
まず、自分の住んでいる都道府県から一歩でも足を踏み出す場合は
そのことを報告しなければならない。
基本的に外泊はダメ。旅行などに行く場合は、事前に申請し許可を取らなければならない。
しかも、2泊を越えてはいけない。
などなど、沢山規則があったけど、もう忘れた(笑)。

また保護観察は、処分期間というものが無く、保護司の一存で終了判定が下される。
長い奴では2年以上、短くても半年らしい。
それに、保護司のところに通う間隔も保護司の一存で決まる。
短い場合だと毎日通う場合もあるのかも知れない。
シンの場合は、1週間に1回、通うことになった。

初日はそんな説明を受けて帰った。

それから、毎週通いはじめた。
まず、一週間どのようにすごしたのか、学校ちゃんと行ってるか、学校は楽しいか
悪い友だちとは縁を切れとか、説教というか説得するような話をする。
その後、交通規則の勉強。しめて1時間半程度。
別に犯罪を犯したわけでもないのに、犯罪者扱い。
シンは、交通違反をして免許取消になっただけの普通の人なのに(;_;)。

4・5回通ったある日、保護司からこんな事を言われた。
「いや〜正直、君みたいな真面目な子は初めてだ。
実は私、今まで交通関係での保護観察は見たこと無かったし
よく解らないんだけど、君がこの保護観察を続ける理由が見あたらない。
受けるとしたら、交通規則の勉強だろう。しかし、それは私のやるべき事ではない。
しかし、1ヶ月で保護観察処分を終了するわけにはいかないので、次回は1ヶ月後にしましょう。
私も、裁判所と相談してみます。」
だから、シンは、交通違反をしただけの普通の人なんだってば(笑)。

結局、その後2回通って、3ヶ月間で保護観察は終了した。
まぁ、でも良い経験になったと思う。話のネタにもなるしね。


TOPへプロフィールへ