透析患者の外科手術の注意点

手術前
1) 術前のHtは30%以上を目安にして下さい。
2) 輸血の透析(いわゆるK抜き)は保険適応がないため、現在は原則として施行しません。
3) 術前の透析は手術前日が基本です。(術中透析をする場合を除き、手術は基本的に月曜日には予定しないでください。)十分に透析を行い、標準体重(Dry Weight)、透析後の血清Kは、4.0mEq/l以下を目標とします。

手術当日
1) 血清Na、K、Htを緊急で検査して下さい(K値で麻酔導入の仕方が異なります)
2) 血清Kが高値の場合、カリメート注腸(カリメート15?30g+微温湯50ml)またはGI(グルコース+インスリン)療法を行い、それでも下がらない場合は、術前に透析を行うこともあります。

術後
1) 術中?術後の体位・血圧変動に伴い、内シャントの血流低下・閉塞の危険性があるので、頻回に内シャント音の診察をして下さい。人工血管、グラフトも同様です。
2) 術後の血液透析は原則として、術後2日目に施行します。緊急の場合をのぞき、金曜日に手術予定をくまないで下さい。
3) 術後第一回目の血液透析までの間、血清Kが5.0mEq/l台後半になったら、カリメートの注腸または、GI療法を施行して下さい。それでも6.0mEq/l以上の場合、術直後でも透析を行うことがあります。
4) 抗凝固剤は術後一週間はフサンまたは低分子ヘパリン(フラグミン)を使用し、以後、問題なければ通常、ヘパリンに戻します。不都合のある場合、変更申し送り書でご連絡下さい。

輸液
1) 術後の点滴は、基本としてKを含まない輸液にしますが、低K血症の場合は、この限りではありません。
2) 輸液量は可能な限り少量に抑えて下さい。自尿のある場合は、その分追加可能です。術後は異化亢進状態になりやすいため、十分なカロリー(35?40Kcal/Kg)が必要です。アミノ酸製剤も併用して下さい。 抗生剤 抗生剤は通常使用量の半分量を目安として下さい。透析性を考え、透析終了時に投与が基本です。

抗潰瘍剤・胃薬
1) H2ブロッカーの長期投与は意識障害・血小板減少などを来すことがあり、通常の半量投与を目安として下さい。
2) マーロックス、コランチル、アルサルミンなどAl、Mg等は使用禁忌となっています。

 

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