血液浄化マニュアル2

2止血時の注意点
@作製早期ならびに流量の少ない内シャントの止血は止血クランプを 用いず手でシャント音を確かめながら行う。
A皮膚穿刺部位と血管内進入部位とは少しずれていることを考慮に入 れて止血部位を決める。
B表在化動脈ならびにグラフトの止血は手で行い,完全に血流を遮断 せず少し血液が流れる程度とする。

ブラッドアクセス・トラブルの予防方法
ブラッドアクセス・トラブノレとしては,ブラッドアクセス狭窄・閉塞,ブラッドアクセス部感染,血腫,静脈狭窄,動・静脈瘤ならびに静脈瘤様拡張などがあり,その予防方法を列挙する。

1.ブラッドアクセス狭窄と閉塞
@ 穿刺時に同一箇所を反復穿刺すると,静脈が狭窄し閉塞の原因となりやすい。(ボタンホール穿刺法葉この限りではない)
A 穿刺針としては,金属針より外套針のほうが血栓ができにくい。
B 透析終了後の止血の際圧迫し過ぎないようにする。また止血ガーゼは翌日には取り除く。
C 基準体重は適切に設定し,透析後脱水状態に陥らないようにする。
D 患者の血圧のコントロールに注意し,過度の血圧低下(特に透析後)を起こさないようにする。
E 狭窄部位を早期に発見するには、たえずシャントの観察と聴診を行っておき、わずかな変化も見逃さないようにすることが大切である。
F 流出路静脈に狭窄がある場合は静脈圧が高くなるため、静脈圧の値にも気をくばる。

2ブラッドアクセス部感染
@ 穿刺時の消毒に留意する。特にグラフト,表在化動脈の穿刺の際には,アノレコール綿でなくイソジンならびにハイポアルコールを用いる。
A 穿刺困難で頻回に穿刺したときには,予防的に抗生物質を用いる。
B 入浴や水泳は透析日には避ける。また非透析日に入浴や水泳を行った後には前日の透析での穿刺部をイソジンなどで消毒する。
C 皮膚の掻痒感が強い患者は無意識のうちに穿刺部を引っかき感染の原因となる。つめを伸ばしすぎないように指導する。

3.動・静脈瘤ならびに静脈瘤様拡張 血管穿刺の際同一部位を反復穿刺しないでできる限り広範囲を使用すること。特に穿刺針として金属針を用いていると起きやすくなる。 ・≡1シャント部感染防止のための注意点 穿刺部位の発赤,腫脹,疹痛などシャント部感染の徴候が認められた ときには患部を冷やし,早期に病院に連絡を取り処置を受ける。

四閉塞防止のための注意点
@シャント音の確認は少なくとも1日1回は行う。
A透析で基準体重以下まで除水し過ぎないようにする。
B止血ガーゼは透析翌日には取り除き,必要以上にとどめておかない。

圓日常生活上の注意点
@シャント側で重い物を持たない。
Aシャント部を圧迫するような下着は避ける。
Bシャント部を包帯などを用いて保護する。
C入浴,水泳は透析日以外の日に行い,終わった後に必ずイソジン液 ワ』 一'幣h104内シャント などで穿刺部位の消毒を行う。
D長時間シャント側の腕を曲げたり,下にしたまま寝ることは避ける。

主な合併症診断のこつ
【合併症】
【症状】
ブラッドアクセス閉塞疹痛
ブラッドアクセス感染穿刺部発赤腫脹
疹痛,排膿
静脈狭窄触診にて狭窄部位
触知
動・静脈瘤ならびに静シャント吻合部な
脈瘤様拡張らびに静脈の膨隆
スチール症候群
手背静脈高血圧症
鎖骨下静脈狭窄症
シャント側手指の冷感,蒼白化
疹痛,指尖部壊死
手背静脈の拡張
手背部浮腫
皮膚の変色,壊死
疹痛
一側上肢全体の浮腫,
胸部側副 血行路の怒張

【診断方法】
シャント音消失
静脈内血栓触知
症状により診断する
感染との鑑別必要
超音波検査
シャント血管造影
超音波検査 視診
シャント血管造影
超音波検査
サーモグラフィー
症状より診断
シャント血管造影
サーモグラフィー 症状より診断 鎖骨下静脈カテーテル 留置の既往 鎖骨下静脈造影 主な合併症治療とそのこつ 0ブラッドアクセス閉塞
@シャント吻合部のマッサージならびに局所を保温する。
A血栓溶解薬(ウロキナーゼ60,000単位),抗凝固薬(ヘパリン5,O00 〜6,000単位)の静脈内投与。

主な合併症治療とそのこつ105
B上記方法で無効の場合シャント再建術を施行する。

目プラツドアクセス感染
@軽度の場合 ・イソジン消毒液で局所を消毒する。 ・抗生物質の静脈内投与と抗炎症薬の経口投与(3〜7日)を併用。
B高度の場合 ・皮膚切開し排膿する。 ・抗生物質の静脈内投与(期間は症状により異なる)を行う。 ・敗血症のおそれのある場合γグロブリンの静脈内投与(2,59/ day)をイ子う(3日間)。 ・上記治療が無効な場合,特にグラフトの場合にはグラフト抜去術 を施行する。 一≡1

血腫形成
@軽度の場合 ・局所に冷湿布を施す。
A高度の場合 ・局所に冷湿布を施す。 ・Ht値により輸血を考慮する。 ・筋肉内の血腫による神経圧迫症状が認められた場合には血腫除去 術を施行する。

9静脈狭窄
@経皮的血管形成術(PTA)(バルーンもしくはレーザー)を施行する。
A外科的血管形成もしくは再建術を施行する。

圓動・静脈瘤ならびに静脈瘤様拡張
@動・静脈瘤のみで中枢側に狭窄のない場合:腫瘤を剥離し,中枢側 の動・静脈を端々吻合する。
A流出静脈が動脈瘤のすぐ中枢側で狭い範囲の狭窄を起こしている場 合:腫瘤を剥離し,狭窄部まで切除しこれを再吻合する。
B流出静脈が広範にわたって狭窄を起こしている場合:腫瘤を切除 し,別に中枢側の適当なところに新しい内シャントを作製する。 回スチール症候群 治療の基本はシャントする血液量を減少させ,末梢側に十分な血液を 与えることであり,具体的な方法としては以下のようである。 !.燗, 6・

 

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