Life Share を求めて
合気道の技の中には、一教の表・裏、四方投げ表・裏などのように、一つの技で“表”と“裏”と二つの動きを持つものがあります。
初心者は二つの技だと考えますが、稽古を積んでくるとすぐ解るように、実は一つの技のことです。
すなわち、相手の表側に動くか、背後に回るかの違いだけなのです。
この様に表技も裏技も一つのことを反対側から見たことにすぎません。
分けることの出来ない一体不可分の事を、一方からだけでなく、反対側からも見ることの大切さを教えているのです。
日本には“文武両道”・“知行合一”という考え方があります。
“文”と“武”は概念として独立していますが、武道としては表裏一体のことなのです。
“文”それは書を読み、話を聞いて知識・教養を高めることにあります。
一方で、理屈だけでは物事が進みません、同時に実行することも不可欠です。
こちらの方が“武”です。
その“武”を磨くために武士は体を鍛え争いに備え、しいては健康な生き方をしなければ使命が果たせません。
“文”だけでは自分の頭脳を過信し空理空論におちいり、軟弱・虚弱になってしまいます。
また、“武”だけでも力にたより乱暴狼藉にはしります。
“文”を学び、“武”を鍛えなければ、その力は邪道に流れ、我欲だけの禽獣にも等しくなるのです。
そこで、昔の武士は“文”と“武”の両方を学ぶことを旨としていました。
稽古の時には『技』だけに偏らずその中に秘められた合気道の考え方を見出して一緒に学ぶよう心がけて下さい。